VANS Special

VANS のスペシャルメイクがまた発売になる。
今回スリッポンは既存型のマイナーチェンジヴァージョン。
アッパーのネガポジコンボはそのままですが、今回は今までの同じ皮革の表、裏のコンボではなく、同色のスムースレザーとスエードのコンボ、そしてソール周りの色もそれぞれのボディと同色という事で従来型よりはかなり精悍な、少しだけモードな感じになっていると思います。
そして、新型のSK8HI。
実を言うと、僕が個人的に手に入れた最初の VANS は、SK8HIモデルでした。
80年代半ば、まだ全てアメリカ製だった頃の VANS 。
当時、清水さんと一緒に働いていたお店で、人気絶頂のナイキ、エアジョーダンの黒x赤、黒x青の色をモチーフに、SK8HI モデルでお店の特注として作ってもらったモノが最初です。今ではあたり前ですが、当時の弱小店舗としては画期的な試みで、自分的にも物凄く気に入って両色とも手に入れて、さらに、それをネガティブ履きしていたなあ。

このネガティブ履きのルーツは僕が70年代末に見た雑誌の中にあったカルフォルニアのスケーター。モデルは多分オーセンティックだと思うのだけど、ポパイの記事の中にそれはあったと覚えている。元々がそういうデザインではなく、サイズの合う友人と色違いで片足交換したのだとキャプションに書いてあった。VANS の存在は知っていたけど、日本の市場には中々入ってこなくて、すでに出回っていたトップサイダーなんかより貴重な時代だったと思う。そんな中でたまたま見たこの記事のおかげで、VANSのネガティブ履きが僕の心に焼き付いてしまった。何というか、その頃のカルフォルニアのフィーリングが、トリッキーだけど自由な、遊び心ある履き方に現れてるなあと。この時の印象が、随分と後になって今回のVANSのスペシャルデザインに繋がってくるのだから、面白い。そして今回の SK8HI も、このネガポジコンボがベースになっていて、スリッポンが前後という感じだったものが、SK8HI では左右に変わって、素材違いを組み込んでみた。左右からの見え方で、スムースレザー、あるいはスエードに見え方の変わるデザインだけど、色目を全て合わせてあるので、見た目はかなり地味というか、渋い、だけど個人的には満足の行く仕上がりでやはり、スリッポン同様、少しモード的な顔になっていると思います。

NYでもほぼ同時発売ですが、VANS はこちらでも非常に強い人気で、特にファッションがらみの人やアーティスト系の人々からの支持が強く、本当になんだか、The America’s Sneaker という感じがありますね。僕個人的にも、70年代からずっと心の中にあるブランドの一つです。
まさに恐るべしスニーカー。

ではまた次回。

写真は79年のポパイから。上段右から二人目が見えにくいですが、ネガティブ履きしています。僕の見たのはこの写真ではなく、もっとVANS が大きくスニーカーのみで写っていた写真だったはず。

もう一つの写真は、その昔清水さんが企画したジョーダンカラーの SK8HI に割と近いものを見つけてきました。確かこんな感じのデザインで、現在では超カリスマの有名人が当時、発売直後、速攻で2色共買っていかれたのを覚えています。

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DAIKI SUZUKI 鈴木 大器

DAIKI SUZUKI 鈴木 大器

NEPENTHES AMERICA INC.代表 「ENGINEERED GARMENTS」 デザイナー。 1962年生まれ。 89年渡米、 ボストン-NY-サンフランシスコを経て、 97年より再びNYにオフィスを構える。 08年CFDAベストニューメンズウェアデザイナー賞受賞。 日本人初のCFDA正式メンバーとしてエントリーされている。