Timex

まことしやかに言われていても、実はそうではない事って多い。
でも、だからどうだって言われたら、別にどうでも良かったりする。
映画、Wild One の革ジャンが Schott だったのか、James Dean が履いていたのが Levi’s なのか Lee だったのか、同じように気になったのが Timex のベトナム戦争時の米軍支給時計。当たり前のように、そうだと思っていたのだけど、実はそうではないらしい。
たまたま見つけたブログの記事が面白かった。
https://www.hodinkee.com/articles/the-history-of-the-real-timex-military-watch-plastic-disposa

数年前のTimex と J.Crew がコラボした腕時計が、1940年代の米軍支給モデルを復刻した旨だったのを受けての事実確認である。結果、Timex が米軍支給した形跡が非常に薄い事となった。実際にその時代に支給時計を作っていたのは、Benrus, MWC, Hamilton などは確認できてるのだけど、こと Timex に関しては、ベトナム戦争以降の80年台になってからの製品しか見つからないらしい。しかも、見つかった証拠品は全て1982年、さらには2月と3月だけの生産だというのだ。そしてその1982年というのは、Timex 社が機械式時計を廃止して全てをクォーツ化した年、つまり、軍支給品は使い捨て時計、つまりボディが一体成型で手巻き式が基本なので、この年からクォーツ化した Timex は軍のスペックに合うものが作れなかった事になる。それなのに、現在確認できる軍支給時計で Timex と判別できるのは、82年の2月と3月の2ヶ月生産分のみ。これは何を意味するのか?多分、軍支給の生産を勝ち取るためのサンプル生産だったのではないかということ。ということは、Timex は正式には米軍支給をしていない?かも知れない。それなのに、J.Crew は堂々と40年代の米軍支給モデルをベースにと謳っているのは、その方が購買者の気分をそそるというか、聞こえが良いからだろう。そういう意味ではあまり攻める事はできないけれど、事実は事実だ、という結論が面白かった。僕自身も Timex がベトナム戦争来、米軍支給していたというのは全く持って何かに刷り込まれていた情報で、今まで疑った事もなかった。実際には、爆破装置のタイマーや、その他の分野ではかなり支給されていたようだけど、いわゆる軍用のディスポーザブル腕時計に関しては巷に知られてたのとはちょっと事情が違ったようだ。

知ってるようでも、実は知らない事はけっこう多いもんだと改めて思う。今、アメリカで話題になってる大統領選も、当初は有り得ないと思った候補がどんどん支持を集めている。主観的なイメージだけで勝手に泡沫候補と決めてつけていたのだけど、だんだんと知らなかった彼の事実を知るほどに、だんだん笑うことができなくなってきてる。一体、どうなるんだろうね。

ではまた次回。

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DAIKI SUZUKI 鈴木 大器

DAIKI SUZUKI 鈴木 大器

NEPENTHES AMERICA INC.代表「ENGINEERED GARMENTS」デザイナー。1962年生まれ。89年渡米、ボストン-NY-サンフランシスコを経て、97年より再びNYにオフィスを構える。08年CFDAベストニューメンズウェアデザイナー賞受賞。日本人初のCFDA正式メンバーとしてエントリーされている。