Hoka One One

80年代の始め、何だか知らないがイギリスの国旗、ユニオンジャックが小さく付いてる変なスニーカーが店に入荷してきました。仕入れたのはその当時の店長で一緒に働いていた清水さん。これ何ですか?って当然聞くと、英国メーカーのスニーカーで今アメリカでも人気ある、リーボックだと聞かされました。リーボック?。聞いてみると、それはNYで人気のエアロビクス専用シューズ。フリースタイルというそのモデルは、バスケットシューズのようにハイカットなのに無茶苦茶華奢な感じで軽かった。率直に言って、僕には何か安物というか、ニセモノっぽい感が大きかった。それが輸入書店で見るアメリカのGQ誌にはバンバン広告が出ていて、スタイリングにも使われていて、ああこれは実は凄いかもしれないと思ったのは随分後。清水さんには散々何ですか?これが良いんですか?と言っておきながら、実は何故だか、だんだん気に入ってきて、終いには買ってしまっていた。

それまでは、スニーカーと言えば、アディダス、コンバース、ナイキが3強で、ニューバランスやら、プーマ、ブルックス、サーカニーあたりが、ランナーズワールド誌の影響で知られていたような時代。そこにちょっと異色なスタイルのリーボックだから、最初は本当に戸惑った。しかも全て韓国製で、誰から聞いたか忘れたけれど、リーボックは、韓国のリーさんとボクさんが共同で開発してるというアホみたいな噂まで出ていたくらい。それがまさか、こんなにメジャーなブランドになるとは考えもしてなかった。

実は同じことを最近、ホカというブランドに感じている。
一番最初は、真剣にランニングに取り組んでいる知人が履いていたのを見たのがほぼ3年くらい前、これも最初は何これ?ってのが一番最初のリアクション。恐ろしいくらいの厚底もそうだけど、目が眩むほどの派手な色使いもあって、かなり強烈な印象だった。気になって調べてみると、2009年にスタートしたばかりの新しいメーカーで、フランスのアウトドアのメッカ、トレイルランニングの本場で誕生したのが、2013年には、アメリカはカルフォルニアにベースを移して本格的に市場に参入してきたばかり。当然、新しモノ好きの血が騒いでしまってすぐに手に入れたのが、派手派手の中に異色的に全部一色のモデル、ヴァロール。履いてみると無茶苦茶クッションが凄い、まるで雲を歩いているようなというバカみたいな表現が出てくるほど。 その分厚いアウトソールの外見は、やっぱり見る人にかなりのインパクトを与えるみたいで、履いてると、ほぼ必ず人に聞かれた。それ何ですかと。
その後たまたまルックブックの撮影で白のスニーカーが必要で、手持ちのホカを使ったら、展示会でも凄い反応で、いろいろと聞かれるハメに。それがしばらくしてるうちにあれよと言う間に一気に知名度が上がってきたようで、2年ほど前にはロンドンの売り出し中のデザイナーのK氏が遊びに来て、小柄の彼はホカのオールブラックハイトップを履いていて、その厚底のスタイルが彼の洋服に合っていてとてもカッコ良かった。意外に、ファションにもイケるかもなあと思っていたら、あっという間に世の中は厚底スニーカーの天下に変わっていった。こういう時だね。やっぱり強烈なオリジナリティというのは本当に力強いものだと思うのは。あと何年かしたら、ホカは、かつてのリーボックのように当たり前のようにメジャーブランドに成り上がっているかもしれない。名前もリーボックほどに面白いというか、ホカの後にオネオネという、何とも微妙な名前。これもメジャーになったら全く気にならないんだろうね。

さて、どこで繋がったかは詳細は不明だが、多分うちのアンジェロ君の尽力で、EGとホカのプロジェクトが実現しました。今春夏の EG とリンクするデザインも有りで、もうすぐ発売になります。皆さん是非見てみてください。

ではまた次回。

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DAIKI SUZUKI 鈴木 大器

DAIKI SUZUKI 鈴木 大器

NEPENTHES AMERICA INC.代表「ENGINEERED GARMENTS」デザイナー。1962年生まれ。89年渡米、ボストン-NY-サンフランシスコを経て、97年より再びNYにオフィスを構える。08年CFDAベストニューメンズウェアデザイナー賞受賞。日本人初のCFDA正式メンバーとしてエントリーされている。