Driving Manhattan

以前誰かに聞いたのは、真のニューヨーカーは車の運転をしない。
運転免許証を持っていない、という事でした。
何か昔、東京人は、、、っていうのも聞いた事があるなあ。
そういう意味では僕などは完全にその逆を行ってることになる。

30年近く前にアメリカへわたってきた時から車の運転は必要不可欠で、最初の地、ボストンで免許を取得して以来、NYへトランスファー、サンフランシスコに移転した時に改めてカルフォルニアラインセンスを取得してまたNYへトランスファーと、常に車がそばにあった。ま、仕事がそれなしには始まらないというのもあったけれど、何か車が必要のなさそうなマンハッタンでドライブするのが実は大好きだ。一方通行ばかりで道は簡単だし、昔は今ほど人、車が居なかったので楽でもあった。それが、数年前からどんどん変わってきている。

以前から薄々感じてはいたけど、マンハッタンは本気で車を追い出す気だね。
新しくリノベートされた道路は、ほぼほぼ自転車専用路を広く取っているし、ま、ロンドンやパリのように、レンタル自転車の台頭が凄い。各国も銀行がスポンサーのところが多いが、NYも他聞にもれずシティバンク。あ、そういえば日本のシティバンクは名前が変わっていたね。

とにかく車線の数が減り、右折、左折禁止や、駐車禁止の条件が厳しくなり、駐車場が激減している。そしてなりよりガソリンスタンドが減っている。ま、いろんな理由があるんだろうけど、NYの物価高、土地、不動産の高騰など、ここ数年でその数は半減してる。先日読んだNYタイムズの記事によると数年前には50箇所あったマンハッタンのガソリンスタンドは10箇所以下に。僕らの実生活範囲である52丁目以南では、現在4箇所しか存在していない。元々、僕のテリトリーだったイーストサイドでは、アベニューC、2番街2丁目、そしてついにラファイエットとハウストンが閉まった。

何しろガソリンスタンドというのは、大体が角地に存在していて、これはもう高級コンド(マンション)の建設には最高の条件だし、不動産ディベロッパーが黙って見てる訳がない。

ま、車を使わなければ良い話ではある。今時、マンハッタンに住んでて車で通勤してるというのはよっぽどの馬鹿だとは思うのだけど、何故か毎朝、電車で15分のところを、ドライブで小一時間はかけて通っている。車の中での空間は一人で考え事するには最適だとか、言い訳はいろいろと思いつくけれど実際は渋滞でストレスためこむか、自然現象のために緊急事態になったりとか、歳とってから特に良い事は何も無い。ましてや、マンハッタンの交通マナーは最悪。自分は安全運転でも、他の乱暴な車や、信号無視の歩行者(これは自分も歩行者になるとそうなので、あまり言えないんだが)、最近威張りだした自転車乗りや、スケートボーダー、さらには先週から爆発的に出現したポケモンゴーのおかげでゲームに没頭している歩行者など、リスクはそこら中に散らばっている。  

しょうがない、また自転車でも引っ張りだすかな。
すぐ盗まれそうだけど。

ではまた次回。

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DAIKI SUZUKI 鈴木 大器

DAIKI SUZUKI 鈴木 大器

NEPENTHES AMERICA INC.代表 「ENGINEERED GARMENTS」 デザイナー。 1962年生まれ。 89年渡米、 ボストン-NY-サンフランシスコを経て、 97年より再びNYにオフィスを構える。 08年CFDAベストニューメンズウェアデザイナー賞受賞。 日本人初のCFDA正式メンバーとしてエントリーされている。