Dr.Martens x EG

EGスタート当初、付き合いのあったロンドンのお店で働いていた人が、10年後の今は Dr. Martens ドクター・マーチンでディレクターをしている。それが縁で、いろいろと知人を介して、そして直接NYのお店にも足を運んでくれて今回のプロジェクトが始まったのが去年の今頃。通常ドクター・マーチンといえば、エアクッションソールで、8ホールの編み上げブーツが最も有名なモデルだろうか。

1982年、ざっと30年以上前、僕は渋谷のインポートショップNで働いていました。まだ恵比寿のデザイン学校に通っていた頃、金のためのバイトばっかりで、ある時、仲のよかったクラスメートと、このまま行ったらバイトが本職になりかねない。ファッションの学校に来たんだから、最低限、洋服屋っぽいバイトにしたほうが良いのではとなった。彼は五反田の缶詰工場、僕は恵比寿の電子部品洗浄のバイトを辞め、ほぼ同時にビームスにバイトの申し込みをした。彼は採用されたが、なぜか僕は不採用。で、その次に希望していた前述のインポートショップに申し込み、こちらはめでたく採用。

せっかく採用されたお店Nも、実はほぼ首になりそうだったのだけど、その件は別の機会に。
このお店で扱っていたのが、ドクター・マーチンソールの Hawkins ホーキンス。もちろん、英国製。モデルは4ホールのプレーントゥ型と、僕自身この時初めて見た、ギリーという凝った紐の通し方をするダービーシューズ。当時はグレンソンのデザートブーツや、イタリアのロブスのローファーなんかも扱っていたのだけど、この Hawkins のドクター・マーチンソールが最も売れた。確か2万円台だったと思うけど、本当によく売れた。これが僕とドクター・マーチンとの最初の出会いだった。

そして今回、EGのために、ドクター・マーチンがスペシャルを作ってくれることになった。
最初に考えた事は、誰もが知ってる、いわゆるスタイルナンバー1460、8ホールの編み上げブーツ以外のもの。EGのデザインと同じように僕個人の経験から考えるうちで、最も強く印象に残っていたのが、この最初に出会ったプレーントゥとギリーの2型だった。ということで非常に単純ではありますがアイデアは、この2型を一つに、それをEGらしくトリッキーな工夫を一つ。写真の最初の2枚は、その昔お店で扱っていたモデルと同じだろうモノをネットから探してきた。そしてその次のオリーブ色のものが今回のスペシャル。違いがわかるだろうか。発売はNYでは1月の25日から。詳しくはお店からの告知をチェックしてください。

しかし、ドクター・マーチンと言えば、やっぱり、あの編み上げブーツ。そしてボロボロジーンズのロールアップに、MA-1。あの頃、火曜日のロンドンナイトにあしげく通っていた友人Mの格好を思い出す。四畳半風呂なしのアパートに、土足のままで生活していたパンクだったなあ。

ではまた次回。 

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DAIKI SUZUKI 鈴木 大器

DAIKI SUZUKI 鈴木 大器

NEPENTHES AMERICA INC.代表「ENGINEERED GARMENTS」デザイナー。1962年生まれ。89年渡米、ボストン-NY-サンフランシスコを経て、97年より再びNYにオフィスを構える。08年CFDAベストニューメンズウェアデザイナー賞受賞。日本人初のCFDA正式メンバーとしてエントリーされている。