Dior Blue

最近はとても便利になりました。
パリコレも事務所で机に座ったままチェックできてしまいます。
毎シーズン、全部ではないですが、時間があるときに気になるブランドや、デザイナーのコレクションをざっと見ています。大体いつも同じブランド、デザイナーがやっぱり気に入るんですが、今回良いなあと思ったのはディオール。
http://www.vogue.com/fashion-shows/fall-2017-ready-to-wear/christian-dior
見てもらうとわかりますが、モデル全員がレザーのベレーをかぶっています。そしてほぼほぼネイビーから、ブルーの色目で押し通し、突き抜けてる感じも個人的にはかなりグッときました。この前までは、ガリアーノとか、ラフ・シモンズとかやってたような気がするけど、今は誰がこれをやってるんだろう。急に興味が出てきてしまい、ググって見ました。Mariga Grazia Chiuri マリア・グラツィア・キウリという人でしたが、もともとファッション界の人に疎いので全く知りませんでした。ですが、調べてみると非常に優秀な人のようです。年齢もかなり僕らの世代に近い。急に親近感が出てきました。イタリア人で、20年以上も地元のデザイナー、ヴァレンチノの元でキャリアを積んだベテランです。僕は知らなかったのですが、実は前シーズンがディオールでのデビューだったようで、あらためて前春夏も見直しましたが、やっぱり良かった。
http://www.vogue.com/fashion-shows/spring-2017-ready-to-wear/christian-dior
メゾン初の女性アーティスティックディレクターということで、かなり評判だったシーズンだと知ってあらためて僕の関心度が低すぎる事を実感しました。書くと長くなりそうなんで、適当にパパッとリストするだけにしますが、この春夏も色の配置から、デザインのベース(フェンシングとかね)や、小物とか、メッセージ色のあるプリントTだとか、僕の大好物がそこらじゅうにあります。今回の秋冬も、ネイビーという色はもちろん、ミリタリーや、ワークウェア、デニムまで。そしてこの人の刺繍モチーフとかも結構好きでした。ま、なんだろね、相当気に入ったんだと思う。よく人と今シーズンは誰が良かった?みたいな話をする事があるんだけど、今回はディオール一推しで、素晴らしいねえと話していたところ、、、。
http://nymag.com/thecut/2017/03/shade-at-dior.html
こんなのもあるよ。と送られてきたのはNYマガジンのレビューへのリンク。レビューを書いたのは、キャシー・ホリン。NYタイムズ時代からのファッション業界の重鎮、大御所。ま、この人だからここまで書けるのだろうと思うけど、内容が凄い。マリアのコレクションのテーマ、ブルーを使ったのは良いけど節度無し、使い過ぎ。ディオールの重さが感じられない。売れそうなスポーツウェアばかりで全くディオールのハイファッション感が欠落。ディオールへの期待を完全に裏切ったとまで書いてる。最後には、本人がこれで良くても、ディオール側の人たちはこれでは済まさないとまで。

レビューもたまには読むけど、こんな面と向かった批判は初めて見た。いわゆる酷評。その酷評はどうも、彼女だけではなく、他のジャーナリストというか、業界人にも少なくないらしい。しかしそのコレクションは、僕にはとても素晴らしく、カッコ良く、強い印象を受けた。ファッションというのは面白いものだ。人によって全然違う。見かたによっても全然違う。それをやっぱり批評できる人がいて、その信頼はどこからくるのか。感性なのか、長い経験なのか。何となくアートの世界にも通ずる部分もあるかも知れない。こんなに受け方が違うのかと感心しつつ、それでも僕個人的は素晴らしいコレクションだと思うし、マリアさん、彼女自身にも非常に興味を惹かれた。そして彼女が今回のブルーのテーマを引き出してきた元が、50年代にディオールが発行した著述、The Little Dictionary of Fashion。その一節は、B欄のBlue部分。

Among all the colors, navy blue is the only one which can ever compete with black, it has all the same qualities.

これにはやられてしまった。
何も言う事はないです。ディオールさん、その通りだと思います。速攻で、アマゾン検索して、その本は今ここにあります。こんな事を言うのもなんだけど、この手のファッション辞典というのは結構世の中溢れているのですが、ディオールのこの本は凄いです。まだちょっとしか見ていないのですが、かなり打ちのめされてる感があります。もっと勉強しないといけません。最後に、こんなひょんなきっかけでマリアさんを知った訳ですが、その過程でもう一人興味深い人を発見しました。
Pierpaolo Piccioli ピエールパオロ・ピッチョーリ
長年にわたってマリアさんと共にバレンチノを支えてきたデザインパートナーだった人で、前シーズンから単独でバレンチノを率いています。彼の写っている写真から、その洋服のセンスに惹き込まれています。もう一つ、マリアさんのラストネームは、Chiuri。チウリかと思ったんですが、どうもキウリと発音するようで。これがちょっと個人的に苦手な食べ物と同じ名前でびっくりでした。
あ、どうでも良いですね。

ではまた次回。 

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DAIKI SUZUKI 鈴木 大器

DAIKI SUZUKI 鈴木 大器

NEPENTHES AMERICA INC.代表「ENGINEERED GARMENTS」デザイナー。1962年生まれ。89年渡米、ボストン-NY-サンフランシスコを経て、97年より再びNYにオフィスを構える。08年CFDAベストニューメンズウェアデザイナー賞受賞。日本人初のCFDA正式メンバーとしてエントリーされている。