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昔から変わったディテールに惹かれる。
洋服はディテールが命と思っていた時もある。
何のために誰が何を思って考えたのか。を、考えると面白くてしょうがなかった。

もう何年も前、EGでフィールドベストを作った時、ベースになったのは昔に買ったオービスのベスト。 背中に斜めにパッチポケットが付いていて、見た瞬間に釘付けになったのを覚えてる。 店のスタッフに聞くと、フォトグラファー用のベストということで、三脚入れではないかと思った。 でも後々よく見てみたら、釣り用なんじゃないのと言われたりしたけど、本当のところは不明。

そして今年の秋冬用に作ったパスファインダージャケット。
これも背中に斜めに走るジッパーポケットが付いている。
よっぽど背中にディテールを作るのが好きみたいだ。ま、背中に限った事ではないのだけどね。ただ背中にジッパーポケットがあったら面白いと思ったのは結構前の事。まだ90年台半ばにロンドンへ出張した時。ポートベローのマーケットを歩いて、イギリス軍のユニフォームとかフライトジャケットを漁っていて変わった一着を見つけた。他にもあったフライトジャケットと同じなのにこの一着だけ背中にシームが斜めに入っていた。何のためのシームなのか、気になってずっと眺めていたのだけど、これは実は元々あったシームではなく、何らかの理由で背中が破れてしまった修理のシームだと気がついた。でも、そのシームが斜めに走るのが妙にカッコよくて、ついつい忘れたくなくて買ってしまった。そして思ったのが、背中に斜めに走るジッパーポケットのもアリかもなあというアイデアでした。

ただね、それは結構目立つし、本来それが必要な理由がある訳でなく、背中にジッパーポケットというのはマウンテンパーカとかでもあるディテールではあるけど、斜めである必要はなく、斜めでなく脇で縦に開いた方が勝手は良い。なのでアイデアはアイデアとしてあったけど、実際に作って見ようとは思って居なかった。それが、前述のフィールドベストを作った時に思い出し、今回はその延長にあったあのフライトジャケットのシームを思い出してしまった。非常に迷って、迷いまくったんだけど、やっぱり作ってみた。どうかなと思ってはいたけど、個人的には結構気に入ってます。実際に物を入れて使ってはいないけど、何か何もないより寂しくなくて良いというか、たまに廻りの人から指摘されるのが面白い。僕自身もよく人に言うように、何かで必要に迫られて作られたディテールは、本当に実用的で無駄が無くて美しい。だけど、何だか最近はそんなにはっきりしてる理由が無いディテールでも面白いやり方があるような気がしている。昔の自分自身では考えられない事だが、やっぱり人間は歳取って丸くなったんだと思う。長い時間を経て少しづつ考え方が変わる、できれは進化してると言いたいが、これもアリでしょう。何か最近世の中も変わってきています。イギリスも、アメリカも、韓国も。
これもアリなんでしょうか。

ではまた次回。 

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DAIKI SUZUKI 鈴木 大器

DAIKI SUZUKI 鈴木 大器

NEPENTHES AMERICA INC.代表「ENGINEERED GARMENTS」デザイナー。1962年生まれ。89年渡米、ボストン-NY-サンフランシスコを経て、97年より再びNYにオフィスを構える。08年CFDAベストニューメンズウェアデザイナー賞受賞。日本人初のCFDA正式メンバーとしてエントリーされている。