Burt Avedon

今朝一番最初のニュースが、あのバート・アヴェドン氏の訃報だった。
別に芸能人でも、政治家でもない。スポーツ選手とかでもないし、大金持ちでもない。
名前を聞いてあっと思う人は凄い少ないと思う。彼は、以前も書いた事があるけど、ずっと死んでいたようなブランド、Willis & Geiger を80年代に復活させた人。僕はその頃渋谷のインポートショップで働いていて、たまたまこのブランドに出会った。何かそれまでに見たアメリカの洋服よりも、ラルフローレンの洋服に比べても、かなり大人な感じで、渋かった。そして値段に至っては信じられないくらい高くて、ま、夢の洋服だったかな。 それでも縁があって、アメリカに渡ってすぐの頃、89年にNY、Willis & Geiger のショウルームで彼に会った事がある。ミッドタウンにあったショウルームは、タウンハウス風に改造されて、そこら中にハンティング、サファリ、パイロット、山登り、ミリタリーのイメージや、小物が飾られていて、当時の僕には、正にアメリカのイメージ、そのものだった。そのブランドを率いるのが、彼、バート・アヴェドン氏で、彼自身がもう、当時60歳くらいだったけれど、背が高く、体躯が良く、まるで俳優のように男前だった。そして彼から聞く話は、冗談ではなく本当にアメリカンヒーローの物語で、彼はフライングタイガーのエースパイロットで、退役してハーバードのビジネススクールに入って、事業を起こす。彼の親戚は、あの有名な写真家でもあります。彼のパイロット時代の話、アフリカの話、そして世界中に旅行した話、すべてが本当に夢のようで、僕が会った、最初のアメリカ人の中のアメリカ人、理想のアメリカンヒーローが、彼だった。その後、彼のビジネスは、大手に買われ、さらに買われて、彼もウィスコンシン州に引っ越していった。それでも彼の復活させた Willis & Geiger は多くの人に強烈な印象を残して、今も僕の心に焼き付いている。ブランドは買われた大手会社に封印されてしまったけれど、彼は一昨年に91歳で再度、自分のブランドを始めている。

https://avedoncolby.com

アヴェドン&コルビー インターナショナル アウトフィッタース
昔から一緒に仕事していたコルビーさんと共に、こんな歳になっても作らないではいられなかったんだと思う。 僕のあこがれの人でした。彼のように、彼に近づけるように僕も生きていけたら最高だと思います。

R.I.P. Mr. Gusset, Burt Avedon.

それでは次回。 

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DAIKI SUZUKI 鈴木 大器

DAIKI SUZUKI 鈴木 大器

NEPENTHES AMERICA INC.代表「ENGINEERED GARMENTS」デザイナー。1962年生まれ。89年渡米、ボストン-NY-サンフランシスコを経て、97年より再びNYにオフィスを構える。08年CFDAベストニューメンズウェアデザイナー賞受賞。日本人初のCFDA正式メンバーとしてエントリーされている。