気後れ

中学に入って高円寺にあったパンクレコードショップ『BOY』に通うようになった。雑誌の『DOLL』か『宝島』しか情報源が無い時代、場所は巻末のショップ広告で見つけた。高架下沿いの古びた小さなビルの、狭くて急な階段を上がった二階。小さな店内には店員が一人。お姉さん店員だとホッとして、モヒカン兄さん店員だったりするとおっかなびっくり。階段にはいつもライブ告知やバンドメンバー募集のチラシが貼ってあって、好奇心旺盛な13歳はそんなものにも興味津々。しかし悲しいかな、自意識過剰な13歳は、足音が響くのが気になってそれをゆっくりは見れないのだった。ほぼ別客と会うことの無い一対一の空間で、ナメられちゃいけねえと精一杯背伸びをして、自主制作や海外から届いた(訳の分からない)レコードを隈なくチェックしていた。

今考えれば、大人の目から見ればこちらが中学生なのは一目瞭然。ひた隠しにしてたつもりの「気後れ」も相手には最初から見抜かれて、めんどくさいのが来たと思われてたと思う。何も知らない代わりに、雑誌や街のショップから毎日刺激を受けて、青臭く張り詰めていた。川崎のSUGATAさんから届いたハードコアパンクなロゴのスウェットを見て、なんだかそんな若かりし気分を思い出してしまった。ちなみにこれはWASTED PARISとのコラボ。

光石研さんの『気後れ』もHPとInstagramにアップ。
テレビや銀幕の世界であれだけ活躍している光石さんが、未だ都会への「気後れ」の感覚を忘れないでいる。きっとそれこそが、光石さんが時代を超えて愛される秘密なのだと思うのです。

さて、COVID-19。海外の友人は今のところ全員無事。一番心配していたイタリアの人たちも、持ち前のラテン気質で元気なメールを返してくれる。どうか皆さんもご注意ください。弊社店舗の営業時間も状況に応じて変更させていただきますが、HPやInstagramにてアップして参りますので、ご覧ください。ONLINE STOREは通常通り毎日営業しております。是非この機会に。

NYのアキラから届いたコラムが、現地の状況を詳しく伝えてくれています。たった一ヶ月でアメリカを未曾有の危機的状況に変えてしまったウィルスの脅威は本当に凄まじい。稀に見る強敵です。しまっていきましょう。

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TOKURO AOYAGI 青柳 徳郎

NEPENTHES ディレクター。 1970年生まれ。 東京都出身。