正月休みと最新号

ナショナル ジオグラフィックチャンネルで正月一挙放送をしていた『マーズ 火星移住計画』を観た。いつまでも後を引くタイプの面白さで、観た後にパソコン立ち上げてせっせと調べもの。お陰で正月は連日寝不足。宇宙人が攻めてくるような派手なものでなく、内容はどちらかというと暗め。火星に移住するには何が必要でどうしたら良いかを、各関係者のインタビューを織り交ぜながらリアリティを持って物語にしたセミドキュメンタリードラマだ。映画と全く遜色のない映像力で、視聴者に媚びない大人の演出。正月から良いものを観た。ニック・ケイブの主題歌も凄く良い。

Nick Cave & Warren Ellis – “Mars Theme” 

そもそも火星や他の惑星に行くべきなのか?種の保存のために?別の惑星の環境を人間が変えていいの?という議論も興味深い。何しろ人は元来、遠くへ遠くへと行きたがる。太古の昔から、命をかけた旅をしてまでテリトリーを広げてきた訳で、もうこれは止めようのない欲求なのだろう。動植物を見てもそれは同じかな。でも自分だったら行かない。宇宙の話は好きだけど、戻れなくなりそうで行くのはなんだか怖い。

この煽りを食らって読書は進まず、正月に読めたのは要さんから貰ったこの本だけに。結構なページ数で、案外時間がかかった。結論から言うと、これからは熊よけスプレーを二本持ちたくなった。しかしながら、現実的に二つもぶら下げるのは難しく、ますます熊への対応が悩ましくなる結果に。要さんに聞いたら、本人はこの本を全然読んでないという。つまり、調べておいてということかな。個人的にはボタンひとつで熊も恐れをなす猛獣の鳴き声が大音量で出るスピーカーがあったらといつも思う。

さて、おかげさまで、発売中の『NEPENTHES IN PRINT』#6がとても好評で、ご協力頂いた皆様に心より感謝。なかでも清水さんの朝食のインパクトはピカイチで、特に男衆のハートを鷲掴み。実はこの清水さんの朝食シリーズは、清水さんに代わって要さんが、INSTAGRAMでたまに代理で紹介している。なので、清水さんが飽きない限りは今後もそこで見られるはず。

そして予想通りと言うべきか、邊見さんのページも男衆からの反響が高い。普段メディアに登場することの少ない方なので、きっとファンにも喜んでもらえるはず。邊見さんの物作りには、いつもインスパイアされている。

NYからは大器さん、そして旧知の聡さんとポストオーバーオールズのカツさんが登場。聡さんは独自の審美眼で選りすぐったジュエリーのコレクションを、カツさんは未発表の作品を提供してくれた。真澄と井伊ちゃん、それぞれの自宅で撮影されたページからは、それぞれのスタイリストとしての世界観がだぶって見えるのが面白い。高井さん。サポート役なのにフロントマンになれる稀有な存在。個人的には、元放送作家がなぜにうちのNYに働きに来たのか?という素朴な謎が解けてすっきり。

そして、滝藤賢一さんにも、忙しいなか取材に協力して頂いた。
滝藤さんの服好きは本物。演者があそこまで自分が似合う服が分かってて、好きなように着こなせるとスタイリスト泣かせじゃないかと思うくらい。忘れられないのは、同席していたインタビュー中の「俺は人で物を買うから」と言う言葉。もちろん服が好きだから買うのだけど、滝藤さんにとっては、それと同じくらい誰から買うかが重要だと。つまり、スタッフを信頼してくれているから、通ってくれているそう。改めて背筋が伸びる話だった。

年末の格闘技はクロンの素晴らしい試合に乾杯。
一番凄いと思ったのは北岡悟選手。あの技術と勇気に感激。

本年も宜しくお願いします。

TOKURO AOYAGI 青柳 徳郎

NEPENTHES ディレクター。 1970年生まれ。 東京都出身。