先々週の話

成田空港からダラスへ飛んで、国内線に乗り換えアルバカーキへ。そこからドライブして最初の目的地ギャラップに着いたのが、家を出てからちょうど24時間後。長くて参るけれど、この遠さが浪漫の大事な要素。

ギャラップが位置するのは、赤土の山々に囲まれて空がどこまでも青いニューメキシコ州西部。その砂漠のような草原にルート66が通って、西部開拓者の町として栄えた。ネイティブ アメリカン居留地の中心に位置していて、今でも住民の三割近くがネイティブ アメリカンの血を引いているそう。

NEPENTHESのギャラップ通いの歴史は古くて、もうかれこれ30年。その目的はもちろん、開業時から店で紹介してきたネイティブ アメリカン ジュエリーの仕入れ。その他に今回は脳みその引き出しにも色々とネタを仕入れに。

ギャラップの名所といえば、このエルランチョホテル。1930年代に映画製作の拠点となったホテルで、今も当時の雰囲気をそのままに営業中。少し時代遅れな街並みを車窓から眺めていると、ポツンポツンと点在する古い平屋のモーテルが現れては消えて旅愁を煽る。

ジュエリーからウィービングまで様々な取引先を回って、駆け足で気になるものをピックアップ。色々と別注も仕込むことができて、かなりの収穫。一泊してギャラップで仕事を終えたら、またドライブでアルバカーキへ戻り、それ以後はアルバカーキを拠点に様々な取引先を回った。マイナス15度の日もあると思えば、日中17度まで上がる日もあったりで異常な寒暖差。毎日ドライブして、夜はホテルの部屋で一杯。地場産のウォッカをいくつか飲んでみると、なかなか良い。時差ボケも手伝って毎晩反省会の後は気絶するように就寝。

最終日はまたドライブして、ニューメキシコの州都サンタフェへ。
ガラガラヘビ博物館でこの子に目がクギ付けになりつつ。。

オキーフ先生の足跡を再び辿った。

オキーフ作品によく使われているサーモンピンク。ちょっとこれがこの数ヶ月の仕事の肝だったのだけど、様々な作品でこの色を堪能できた。

富士山。ジョージア オキーフ が描いた日本一の山。今月末オープンするNEPENTHES WOMEN OSAKAの裏テーマであり後ろ楯。しっかり観れて良かった。

今回は旅の途中の急な思い付きで、清水さんも十数年来てなかったという北部のタオスまで足を伸ばした。街を歩いてみるとヒッピーの名残を感じさせる若者たちもちらほらいて、何か良い予感のするバイブス。

タオスは映画『イージーライダー』が撮影され、出演したデニス・ホッパーが埋葬してほしいと遺言を残した街。実際にその葬儀が行われた聖フランシスコ教会の前で、旅の道連れJEYOKAの大野さんが写真を撮ってくれた。教会の前と言っても、これは教会の後ろ側。

この後ろ姿をモチーフにしたオキーフの絵がこちら。動き出しそう。

雪が止んでちょうど晴れ間が出ててきた頃、最初の良い予感は的中。見つけてしまった。
青空の下、目に飛び込んできたのはなんとフライショップの看板。もちろん突入して、店のオーナーにご挨拶。ローカル感溢れる素晴らしい店で、なんとタオス周辺には一年中釣りができる川もあって、昨日もガイドしてきたと言うではないか!SOUTH2 WEST8のムービーを見てもらって情報をシェア。よく考えたら、山々に囲まれたアウトドアタウンとしても知られるタオスは、SOUTH2 WEST8にぴったり。

清水さんは来週の北海道遠征用にオーナーの家族が巻いたビーズヘッドの毛バリを購入。実は、来る途中に見たリオグランデ川はとても良い流れで、ドライブ中も気になってしょうがなかったのだ。釣りが趣味だと世界中どこでも楽しい。竿を持っていないことを悔やみつつ再訪を誓った。第六感に従って来てよかった。TENKARA SESSION in TAOS、想像しただけで鼻血が出そう。

先々週のようなドライブ三昧の海外仕入れ旅は、NEPENTHESの原点。久々に楽しかった。ここ数年よく耳にするのが、海外に興味が無い、車の免許に興味が無い、という人が増えているという話。反面、うちに必要なのはいつも、海外の文化に興味があって、どこへでも運転できて、誰とでもコミュニケーション取れる、そんなタフで好奇心旺盛な人。図らずも時代に逆行中。

さて、明日は伊勢丹新宿にENGINEERED GARMENTSがオープンです。
場所はメンズ館7階フロア、関東近郊の皆さま是非ご来店ください。

TOKURO AOYAGI 青柳 徳郎

NEPENTHES ディレクター。 1970年生まれ。 東京都出身。