スタージョン・ムーン

一昨日の晩、 見事な満月を見た。 北米のネイティブ・アメリカンは、 あの8月の満月のことをスタージョン・ムーンと呼ぶのだそう (スタージョンとは、その卵が珍味キャビアとして有名なチョウザメの英名。 「サメ」 と名前には付いても、 いわゆる鮫とは違う種類の古代魚)。 北米の五大湖でチョウザメ漁をしていたネイティブ・アメリカンにとって、 この満月の時期が最盛期であることが由来だとか。 そういえば、 北海道でもかつてはアイヌの人たちがチョウザメを獲っていたと聞いたことがある。 日本では絶滅したとされているけれど、 滔々と流れる石狩川や天塩川を眺めていると、 まだ生き残っているんじゃないかという気がしてくる。。

閑話休題。 春のニューメキシコ出張でネイティブ・アメリカンのアーティストにオーダーしたジュエリーが続々と上がってきた。 彼らは少し気まぐれなところがあって、 急に連絡がきたり途絶えたり、 じれったいコミュニケーションがなんだか文通のようで懐かしい。 それだけに、 しっかり手応えのあるものが出来上がったときの喜びは一入 (ひとしお)。 彼らの歴史を考えると、 極東から来た一人の人間としてあまりぐいぐいべったりした付き合いはしっくりこなくて、 程よく距離感があるくらいの方がちょうど良い。

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アメリカの原風景を感じながらのロングドライブ
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ナバホ族自治区にある、丸い窓があいたような奇石ウィンドーロック

手元に届いている作品はどれも素晴らしい仕上がり。 シルバージュエリーが映える季節だし、 店頭で早くお披露目したくてウズウズしているのだけれど、 今月26日に予定している開店10周年を記念した 「NEPENTHES HAKATA」 のリニューアルオープンまで暫し我慢することになりました。

過去最大のジュエリーラインナップを用意していますので、 九州の皆さん是非ご期待ください。 そして東京、 大阪、 札幌の皆さん、 『ネイティブ・アメリカン・ジュエリーフェアー』 として巡回しますので、 少々お待ちください (詳細は近日中にHPやインスタグラムにて)。

さらに、 「NEPENTHES HAKATA」 10周年では、 もう一つ重要なトピックが。 リニューアルオープンと同時に、 店舗1Fが東京/大阪に続くネペンテスのウィメンズ専門店 「NEPENTHES WOMAN HAKATA」 として生まれ変わります。 現在、 須藤ディレクターがてんてこ舞いでオープンの準備中。 ウィメンズ・スペシャルアイテムのリリースも決定。 『NEPENTHES in print』 の博多店10周年記念号も発売します。 博多ではめでたいことが重なって、 ハメを外してしまいそう。。

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NEPENTHES WOMAN須藤ディレクターとSOUTH2 WEST8三浦ディレクター

ニューメキシコを後にした健人 (写真の三浦ディレクター) は、 私、 清水さん (清水慶三) とワシントン州スポーケンへ。 見惚れる大自然のなか、 ベン・ミラーとキャンプ&フィッシングの毎日を存分に楽しんだ。。 はずだったのだけど、 実はワシントンでの健人はテンテコ舞いのキリキリ舞い。 写真の笑顔もすっかり消えて、 きっと生きた心地がしなかったと思う。 あいにく現地は例年より10度近く気温が高い異常気象で、 非常に厳しいコンディション。 エキスパートの健人も初の海外遠征&撮影のプレッシャーで肩に力が入り、 不運も重なってジリジリと窮地に追い込まれ。。 最終日、 残り時間もわずかとなり撤収準備を開始したそのとき! 続きはこちら →  「TENKARA SESSION #26 US TOUR」

それにしても 「ネイティブ・アメリカン」 という言葉は曲者。 ご存知の通り、 コロンブスの早とちりが由来の 「インディアン」 と同義語。 今では 「ネイティブ・ネーションズ」 などの呼称もあって、 どれが正しいか一概には言えず、 使い方はその立場によるところが大きくてデリケート。 気になる人には 『インディアンとカジノ』 野口久美子著がおすすめ。 アメリカとの関係から、 日本では知る由もない、 先住民の歴史と今の姿が紹介されています。

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須藤ディレクターと謎のポーズ (ひなっちポーズ) の私

TOKURO AOYAGI 青柳 徳郎

NEPENTHES ディレクター。 1970年生まれ。 東京都出身。