チャイ:
自宅に遊びに来てくれた友人にスリッパを出した時に、スリッパからしたラクダの革の匂いを嗅いだらそのおじさんを思い出しました。
ラクダの皮から手作りでサンダルや革靴を作り上げるおじさん。
黙々と作る姿を散歩している際に道から見かけた。
インド、ジャイサルメールへ旅していた時のことです。
ふらっとそのままお店に入って、相槌でおじさんに撮影していいかって、
聞いてみると大きく頷いてくださった。
彼はその間も作業は止めず黙々と皮を叩きつけていました。
僕も黙ってシャッターを切り出しました。
最後に手を止めて、目線が入った写真を1枚撮らせてくれました。
なんだか素敵なセッションを終えた僕は、工房を出る際には、
脇にスリッパを3足抱えてホテルへ向かっていました。
ブルックリンでコーヒー屋には入った際に鼻に飛び込んできたマサラチャイの香り、カルダモン、シナモン、グローブ、個人的に大好きな香り。
その香りで思い出すのが、早朝、狭い電車の中を大きなやかんを抱えて、『チャイー、チャイー、チャイーー』とけたたましく叫びながら、走り過ぎて行く少年の姿。
寝たのか寝てないかわからないような体の痛みを抱えた長距離電車の夜明け、
甘いチャイは関節に染み渡りました。
またそんなチャイが飲みたくなってきたのか、関節が少し疼きだしました。