TOKYO VIEW

発売中の『BRUTUS』ファッション特集に、鬼海弘雄さんが取り上げられていた。「”似合うということ”を考えた時、真っ先に思い浮かぶ」のが、鬼海さんの写真集だという主旨だった。ご本人からも聞いていたが想像以上の大きな取り扱いで嬉しい。ちょうど本HPでも、過去に『NEPENTHES in print』で行ったインタビューのウェブ版がアップされたので、是非合わせて読んでみてください。

PERSON : 鬼海弘雄 インタビュー 

鬼海さんは先日『Tokyo View』という限定800部の写真集を出版された。
40年の歳月をかけて撮り続けてきた東京模様から120点が、豪華なハードカバー本にまとめられている。撮影されているのは、東京のいつかどこかの街角。そこには誰ひとりいない。誰ひとり写っていないのだが、確かな “気配” が写っている。切り取られた街の断片から滲む、そこに暮らす人々への共感と愛着、人間賛歌。それは鬼海さんの浅草でのポートレイトにそのまま通じるものだ。「水を知らない魚 1976」「切断された蔦 1983」など、写真に付けられたタイトルも映画のように物語を想起させる。内容的には、以前に草思社から出版された『東京夢譚』の特別版といったものだが、何しろこの本は印刷が素晴らしい。大判サイズでモノクローム写真の凄味を感じさせる凄い仕上がり。参りました。

そして、スタイリスト小林新くんディレクションによるREMIX『LIKE A BOY』がアップ。出演してくれた女性モデルが着ているのは実は全てメンズコレクションからのアイテム。男女関係なく、ジェンダーフリーに楽しんでもらおうという仕掛け。いわゆる男装という今回のコンセプトは、実はまさに今のNEPENTHESの気分にぴったり。店頭では、女性にもメンズサイズのSやXSをあえてお勧めしている。ちなみにこの女性モデルLeah OgawaさんはNY出身で、人形使いの勉強をしているそう。来日時にも八王子の車人形でその技を学んでおり、そんな彼女自身が持つ背景の面白さも加わって、今回のストーリーが完成した。国や人種などのボーダーを飛び越えて様々なカルチャーに共感できる、そんな女性像をセミドキュメンタリー的に描いた秋冬ウェブ第一弾。是非お楽しみください。

TOKURO AOYAGI 青柳 徳郎

NEPENTHES ディレクター。 1970年生まれ。 東京都出身。