SIDE B

 『NEPENTHES in print』の最新刊、 これまで以上に大きな反響をいただいて、 編集部一同感謝感激。 今号はライフワークや趣味の世界を特集した 「for ME, MYSELF AND I」 の第三弾。 注目したのは、 もう一人の自分。 言わば 「B面」。 仕事じゃないから余計にその人らしさが浮き出てくるところが面白い。 万が一、 未読の方はこちらからどうぞ。

少しばかり取材備忘録を(掲載順)。

奥田民生さん
バス釣りに対して本気で向き合いつつ、 どこかゆるさもあって。 本気なのだけど、 肩の力は抜けているかっこよさ。 琵琶湖に行ってみたくなった。 取材は叶わずでしたが、 本当は釣り道具満載の専用スペースも持ってらっしゃいます。 取材前に 『Maybe Blue』 を聴いてノスタルジックになりながら現場へ。 三浦憲治さんが撮ってくれたのも嬉しい。

夏帆さん
取材時に漫画を全部しっかり持ってきてくれてライター井上も大感激。 ABC青山ブックセンターさんに協力していただき、 実際に書店内で撮影。 自分が18冊選ぶなら。。 『花のよたろう』 『がんばれ元気』 『漂流教室』 『めぞん一刻』 『ZERO』 『古本屋台』。。 つげ義春だけで何冊埋まっちゃう? なんて、 ついつい考えてしまう。

セントチヒロ・チッチさん
華奢な体に不釣り合いな大きいデイパックを背負ったうえに、 手提げ袋も持参して来てくれて、 その中身が全部ジョン&ヨーコグッズ。 とても色々な角度からオノ・ヨーコの人物研究をされていて、 懸命に話す姿がチャーミング。 逆にこれほど影響を与えるってすごいことだなあと、 改めて 『グレープフルーツ』 のページをめくってみたのでした。

関口メンディさん
二転三転しつつ、 ようやく無理矢理時間を作ってもらってスポーツジムで会ったのが、 なんと大阪ライブの翌日。 全身筋肉痛なのに、 また運動させてしまうことに恐縮。 それでも楽しくこなしてくれて、 顔も身体も心もイケメン。 誌面で紹介されている、 足で挟んだボールを手にパスする腹筋運動。 取材班全員でやってみて悶絶しました。

柄本佑さん
柄本さんが通っている店は、 自分もこれまで何度もお世話になってきた店だった。 知らぬ間に同じ空間を共有してきたということで、 親近感を勝手に覚えてしまう。 読者の方にもきっとそういう人が多いんじゃないかと。 個人経営のお店がちゃんと存在できている街は居心地が良い。 自分の時間はできるだけそういう街で過ごしたい。

菊乃さん
本のチョイスが想像してたものと全然違って、 その意外性に驚いた。 柄本さんと同じく、 自分が読んできた本も多くて親近感が。 清志郎さんの本があったのが特に嬉しい。 「鷺沢萠さんの小説は、 ある年の夏に泊まった民宿の本棚に置かれていたのが出会いのきっかけ」、 このエピソードが素敵過ぎて。。 そしてこんなニュースが。

加藤忠幸さん
加藤農園の野菜は美味い 「!」。 濃密で野生的でパワフルだから、 どうしても感嘆符を付けたくなる。 露地栽培は色んな意味でリアル。 スケートカルチャーを語る時と同じ勢いで野菜を語り、 真摯に野菜に向き合う姿がとても清々しかった。 大好きなレイ・ハリーハウゼンの本を彼の本棚に見つけて記念写真を撮った。 玄関には自分も持っていたクラーケンのフィギュアも居た。 もちろんMattel社製。

辻中雄二郎さん
日本が誇るサブカルチャーの殿堂まんだらけ社長のコレクションは、 やはり当然のごとく凄かった。 ご自宅にお邪魔して感じたのは、 人に見せるために蒐集しているのではないということ。 例えば作品に直結する宮崎駿さん直筆原画。 もし家にあったなら、 物語の一部がそこにあるような豊かな気持ちになるだろう。 最後になって、 釣り師であり湿原の画家、 佐々木栄松さんの絵まで出て来て仰天。

渡辺友郎さん
貴重な飲み仲間でもあるナベちゃんと、 会っても飲まない不思議さよ。 嗚呼、 コロナ。 なぜ我々はこうまで思春期に影響を受けた事柄に引っ張られ続けるのだろう。 セメント、 ガチンコ、 シュート派の私も元々はザ・ファンクスのファンクラブ会員。 呑めば結局、 佐山サトルや前田日明の話になる。 スレイヤーのTシャツくれないかな。

山田陽さん
トレランを始めた頃から見ているけれど、 これほどまでストイックに入り込むとは正直思いもしなかった。 山の魅力に取り憑かれてしまったんだろう。 何しろトレランのお陰で日々充実してるのが手に取るように分かる。 見習って毎日走ってみようか。 写真家としてのキャリアが山とどう交わっていくのか、 その辺が非常に楽しみ。

永岡要さん
犬とロックと食べ物の話をするとき、 要さんは饒舌になる。 要さん一推しの寅乃虎カレーラーメンを食べながら、 久々に自分が犬を飼っていた頃の生活を思い出していた。 オスしか飼ったことがないという話にとても共感。 要さんの話は本当に面白い。 書けないこともたくさんあったので、 札幌で本人から色々聞いてみてください。

話変わって、 『竜とそばかすの姫』。
すごい映画だった。 細野守さんが描くヴァーチャルの世界は楽しくて、 『サマーウォーズ』 もたぶん毎年観ている。 新たな表現にチャレンジする姿勢はいつも見ていて痛快。 音選びも毎回素晴らしく、 今回の中村佳穂さんの起用は言わずもがな。 その歌声がイヤホンから聞こえてきた瞬間に景色が変わる。

NEPENTHESも昨日からまた新たなプロジェクトがスタートした。 ある意味、 NEPENTHESの 「SIDE B」。 お披露目は来年。 臆せず行こう。 悠々と急いで。

TOKURO AOYAGI 青柳 徳郎

NEPENTHES ディレクター。 1970年生まれ。 東京都出身。