SET NORTH

発売中の『NEPENTHES IN PRINT』#7から、こぼれ話をいくつか。

巻頭のREMIXのタイトルについて真澄とやりとりしている最中、写真を担当してくれたアキラから一通のメールが届いた。そのメールには、野外でコンパスを北へセットするときに「SET NORTH」という言葉を使うと書かれていた。方位を北へ。まさにそんな気分だと膝を叩いた。普段から野山を駆けているアキラならではのアイデアで、ストーリーがビシッと締まった。アキラがトレイルランナーで良かった。

いつもお世話になっているスタイリスト大久保篤志さん。プレスショールームでお会いするときにいつも決まって話題になるのが、実はフジテレビの番組『ザ・ノンフィクション』。お互い毎週欠かさず見ていて、待ってましたと感想をぶつけ合う。大久保さんのお気に入りが「足立区 悪ガキ伝説 〜7年のキセキ〜」。ある少年がキックボクシングジムの会長さんと出会い夢を掴むまでのドキュメンタリー。ご自身もキックボクシングを嗜む大久保さん。番組を見た後に実際の試合の映像もさがして見て涙したそう。取材対象を追う時間が5年、10年と長いこの番組。そこにある人生の縮図に、自分の人生を重ねる日曜の午後14時。必見。

スタイリスト石川顕さん。実は清水さんとも大器さんとも、約30年前に一度会ったきり。お互い共通の仲間はたくさんいながら、同じ業界で一度も会う機会なく時が過ぎ、昨夜19時に再会。会ってみれば話は弾みまくって大団円を迎え、石川さんはそのまま台湾へ向かうというオチまでついた幸せな夜だった。石川さんは前々から札幌のSOUTH2WEST8に来てくれていて、もちろんこちらはそれを知っていた。そんなことならと、今回のラブコール。特集が結んでくれた縁。大事にしたい。

夜景とは言え、雨や雪じゃ撮れない。撮るならこの日しかなかった。しかし、円山は撮影ポイントまで車では行けないのだ。行くなら雪のなか自分の足で登るしかない。そこで浮かんだのが、当日到着する予定のアキラの顔。ヤツなら走って登って、撮って下れる!無理を言ってホテルのチェックイン前に撮ってもらった。素晴らしい写真に感謝。アキラがトレイルランナーで良かったpart2。

『独酌 三四郎』さんには何度も通っていながら、一度もお話はしたことがなかった。いつもそんな感じでお店の方にこちらから積極的にコンタクトを取るタイプではない。取材の日、過去の本を見てもらいながら話していると、太田和彦さんを特集した号を見て、ちょうど先週TV取材でいらしたという。残念ながら既にその旭川の回の放送は終わってしまっているけれど、番組はBS11『太田和彦 ふらり旅 いい酒いい肴』。店に伺った翌週、ちょうど札幌にいらした女将の西岡美子さんが、札幌のSOUTH2WEST8に足を運んでくれた。店に来てくれるのは本当に嬉しい。きっといつも「あの人たち変わった人たちだなあ」と思っていたに違いない。何をしてる人間なのか分かって、少し安心してもらえたかなと。

『カレーリーフ』のカレーが食べたくて仕方ない。取材の日、せっかくだから色々なカレーを頼もうと自分は勇んでいつものスリランカ風ではなく、右上のフランス風をオーダー。魚介を贅沢に使ったベシャメルソース風のカレースープが素晴らしく美味で、しっかりとした味付けだからライスにもナンにも合って大満足。しかしながら、やがて沸々と湧き上がってきたのは、やっぱりいつものカレーが食べたい!という欲求。二杯を平らげる能力もなく諦め、以来欲求不満は溜まるばかり。このページを編集している時間が地獄のピークで、今また沸々と。。誰か東京に支店を!

そして、仕事でも遊びでも自分のスタイルを追求する清水さん。ここ何年かの釣行を編集してグラビアで掲載した。我ながらよく撮った。川にいる時間は濃密で、どの写真もいつどこで撮ったのかすぐ思い出せる。清水さんは本番に強いから、こっちも撮りやすい。今年はもっと釣ってもっと撮ろう。「SET NORTH」方角を北へ。北海道で逢いましょう。

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TOKURO AOYAGI 青柳 徳郎

NEPENTHES ディレクター。 1970年生まれ。 東京都出身。