#ICantBreath
ミネアポリスの白人警官の動画が拡散されて一週間、アメリカでは連日の報道の通り各地で抗議デモが激化している。コロナが落ち着きそうだったニューヨークも、今度は連日の暴動が理由で再び外出禁止で、NYチームもお手上げ状態。それにしても、あの白人警官の行為には虫唾が走った。警官に抗議し続けた通行人たちの勇気、止めもしない仲間の警官の非情、「I can’t breath(息ができない)」と訴える黒人男性の声、観てからしばらく動悸が治らず、未だ自分のなかで処理しきれていない。
そんな嫌な気分が続いてたなか、昨日のサプライズ花火は良かった。報道で知ったけれど、元々夏の風物詩である隅田川の花火大会の歴史は、江戸時代の「両国川開き」という催しを起源としていて、大飢饉や疫病による子爵様と災厄除去を祈願するものだそうだ。2020年の現代に、悪疫退散を願って花火をあげるなんてちょっと良い。そうそう、ブルーインパルスもかっこよかった。
東日本大震災の時に、鴨長明の『方丈記』に注目が集まった。
「ゆく河の流れは絶えずして、しかも、もとの水にあらず。よどみに浮かぶうたかたは、かつ消えかつ結びて、久しくとどまりたるためしなし。世の中にある人と栖(住みか)と、又かくのごとし。」
『方丈記』には、当時の数々の災厄についても書かれており、それらを経たうえで「世の中の全ては常に移り変わるものであり、いつまでも同じものはない」という日本人の無常観を表したものだ。これまでの生活や価値観が自然の猛威で全ていっぺんに無くなってしまうことへの諦め、この世は儚いものだという価値観、それが東日本大震災とリンクした。そして、その言葉は今再び新型コロナウィルスという疫病と戦う現代にも通じるように思う。
ちなみに「方丈」とは一丈(3m)四方の部屋の意味で、鴨長明が晩年俗世間から離れて暮らした部屋のこと。つまり、鴨長明が部屋に「STAY HOME」しながら書き記したのが『方丈記』ということか。
そんなことを思ったのは、太田和彦さんのウェブ新連載『七十歳の自己流「方丈記」』を読んだから。歳の取り方を教えてくれる先輩がいるのはありがたい。皆さんも是非。