ENGINEERED GARMENTS

NYからファイルが届いた。
EGの来秋冬コレクションのイメージカットだった。めちゃくちゃかっこよかった。

ジャガードやドビーやヘリンボーンなどの多彩なウールマテリアルを、絶妙なバランスでミリタリー、ワーク、アウトドア、プレッピーへと落とし込んだブレの無い世界観は、ブランド誕生から14年の歳月が経った今も唯一無比。鈴木大器自身によるスタイリングには経験に裏打ちされたアイデアが散りばめられ、それがコレクション全体にモード感を意識させる。

たまには言ってもいいだろう。日本にはEGのような服が溢れている。
似たような素材使い、似たようなデザイン。似たようなイメージカット。GARMENTという言葉自体も日本では馴染みのないものだったのに、雑誌メディアなどで使われるようになり、終いにはブランド名まで似たようなものが出てきた。それらを批判するつもりは毛頭なくて、フォロワーが増えてくれたくらいにしか思っていない。なぜなら、それらはどうしても似たような雰囲気にしかならないし、オリジナルを超えることは絶対にないから。

個々のデザインや素材は抽出できるだろう。しかし、それらをいかにまとめてコレクションへと昇華するのかがブランドの肝。自身の経験に基づいたスタイルへのこだわりと、様々な服飾文化のブレンド力を真骨頂とするEGを複製しようというのは無理な話。

NYのトレードショーで発表し始めた頃、EGの存在は当然誰も知らなかった。何のコネも事前告知もなく、たった10平米くらいのスペースにサンプルだけを置いて立っていると、早足の女性が通りがかって急に足を止めた。サンプルを夢中で見始め、その場でいきなりオーダーを置いて去っていった。連絡先を後で聞いたら、自分たちが一番置いて欲しいと思っていたショップだった。本物は伝わる。バイヤーの目の確かさ、大器さんが作る服の力、その両方に驚かされた。

来季のコレクションは、明日から日本のバイヤーの皆さんへのお披露目となる。商品のリリースは少し先のことになるけれど、せっかくなのでイメージカットの一部を。全国のお店に商品が届くのを楽しみにしてください。でも、まずは春夏を楽しんで。。

最新のイメージブックの巻末には次の言葉が。
All done in American tradition and influence, created with
a craftsmanship that cannot be duplicated anywhere else in
the world; Made in USA

「この世界のいかなる場所でも、同じものを作ることはできない」
MADE IN USAが持つ普遍の価値であり、永遠の謎。アメリカンドリーム。

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TOKURO AOYAGI 青柳 徳郎

NEPENTHES ディレクター。 1970年生まれ。 東京都出身。