Director's Note

by TOKURO AOYAGI

ワンピースの思い出

梅雨の晴れ間。すっかり暖かくなった東京の街には、今年も涼しげなワンピースを着た女子たちの姿が増えてきた。柄物のワンピースは夏へのシグナル。思い思いのテキスタイルが、あちらこちらで街角を彩っている。

実はワンピースにはちょっとした因縁がある。二年前の夏、宮益坂と明治通りの交差点で信号待ちをしていた。そこに颯爽と現れたのがワンピースをまとったロングヘアーの女性。しゃんとしたスタイルで目立つその女性は、私の前に歩みを進めて信号待ちの最前列に躍り出た。すると、どこからともなくモジャモジャ頭のオッチャンが、私と彼女の隙間にス〜っと割って入ってきた。オッチャンはヨレたポロシャツにショートパンツ姿でちょっとだらしない。

やがて信号が青に変わり、ワンピースの女性がスタスタと歩き出した。私の前を歩いていたオッチャンが歩みを早め、彼女の後ろにピタッと付いた、と思ったのも束の間、なんとオッチャンは唐突に後ろから彼女の股ぐらにグイッと手を突っ込んでしまったのだ。痴漢だ。おいおい嘘だろ!? と目が点になった。「イャッ!!」と驚いた女性は振り返りながら怯えた表情でおっちゃんの手を払いのけた。次の瞬間、私の右手はオッチャンが肩から斜めがけしていたショルダーバッグのベルトとポロシャツをまとめて鷲掴みにしていた。

そのまま女性に警察を呼びたいか尋ねると勢いよく首を縦に振ったので、信号を渡ったバス停でオッチャンを確保しつつ警官を待った。実に困ったことになったと思った。その日はタコマフジのナベちゃん(来週NEPENTHESでのイベントが発表となります)と飲みに行く約束をしていたのだ。その待ち合わせに向かう最中での出来事。飲み会というのは私にとって最重要イベント。警官にオッチャンを引き渡したあとは、名刺だけを渡して逃げるようにその場を去った。 以来、毎年この時期にワンピースを目にするようになると、決まってオッチャンが手を出したあの瞬間の映像が頭をよぎる。

後日取り調べが始まり、何度か渋谷警察に足を運んだ。その度に渋谷署近くの釣具SANSUIにも寄ることにして、面倒と思わないように努力した。結果的には、被害者である彼女の方が起訴までに時間がかかることに心が折れて、オッチャンは不起訴になったらしい。担当刑事が(珍しく)良い人で、わざわざ詳細を電話で説明してくれた。

取り調べ中、彼女の調書を確認する機会があって読んでみると、私のことが「派手なシャツを着た色眼鏡の男性」と書かれていて苦笑した。全く間違ってはいない。そして、その調書を読んだ当日もあいにくSOUTH2 WEST8の柄シャツを着ていた。

NEEDLES x NOMA t.d.

D note0613

NOMA t.d.のタクマとマサコに北海道・美瑛で会った。久々過ぎて盛り上がり、マサコとアカペラでライブとなって、翌日喉がびっくりするくらいガラガラになって後悔。梅雨があまり無い北海道は、いま本当に美しく、とても良い時期です。心から来道をお勧めします。

ふとベランダを見れば、アフリカの青いソテツが新葉展開の準備中。真ん中のモゾモゾと固まっている部分が、ゆっくりと伸びながら開いていきます。もの凄いエネルギーに見てるだけでクラクラ。春です。植物愛好家の皆さんは、梅雨明けの葉焼けに気をつけて。

D note0613
2022.06.13

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TOKURO AOYAGI 青柳 徳郎

NEPENTHES ディレクター。 1970年生まれ。 東京都出身。
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