最近観た映画は?

NEPENTHESにとって 「映画」 は、 服作りのモチベーションを刺激してくれる掛け替えのない存在。 2022年秋冬コレクションでは、 奇しくもNEEDLESとEGの両ブランドが、 映画作品をインスピレーションの源にしている。 かねてより 『NEPENTHES in print』 編集部で話にあがっていた映画特集をやるなら今しかない!と、 最新号 「映画の着方」 の制作をスタートしたのが夏休みの終わる頃。

怒涛の取材攻勢が終わったころには、 空はすっかり高くなり陽も傾いて、 今日ようやく見本誌が手元に届いた。 豪華キャストでお送りするREMIX四本立てほか、 清水慶三/鈴木大器のロングインタビュー、 コラムニストいであつしさんによる特別寄稿などなど、 NEPENTHESならではの切り口で 「映画」 を掘り下げました。 発売は今週金曜。 是非お楽しみください。

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ネット配信の出現で、 映画の楽しみ方も随分変わった。 かつては映画マニア達だけが観ていたようなカルト映画もハリウッド作品と並列でラインナップされ、 検索をかければなんの苦労なく観れる時代。 これはやっぱり素直に贅沢なことだと思う。 オンデマンドで観たいときに観る。 個人的には、 なんとなく 「ながら視聴」 でテレビを眺めている時間がほぼ皆無になり、 その分増えたのが映画を観る時間だった。

最新号では、 出演していただいた皆さんに 「最近観た映画は?」 という質問をしている。 映画の好みにはその人が表れるものだけれど、 「最近」 というのがポイント。 つまり、 特別好きな映画という訳ではなく、 最後に観た映画は何かということで、 今の気分を窺い知れるのが面白い。

そういう自分は何を観たんだっけ? と思い返してみると、 『八つ墓村』 (1977年版) だった。 角川書店さんが絡む前の野村芳太郎監督作品で、 金田一耕助役がなんと寅さん (渥美清さん)、 主役はショーケン (萩原健一さん) というすごいキャスティング。 「祟りじゃ〜」 といってピンとくるのは中高年。 たまたま何かの記事を読んで、 思い出したようにU-NEXTで観たのだけど、 ジュン (吉岡秀隆さん) まで出ていてびっくり。 狂気と色気が混じり合った怪奇サスペンス。 やっぱり実に面白かった。 ポスターのデザインもサントラの楽曲も秀逸。 きっと一度見たら忘れられない映画です。

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ついでに、 映画館へは最後に何を観に行ったんだっけ? と思い返してみたら、 『シン・ウルトラマン』 だった。 あれも実に面白かった。 外星人ザラブの造形に痺れた。 たまたま実家に寄ったら懐かしい写真が出てきた (キャップが私)。 実は小学生の頃から、 マルサンやブルマークのアンティークフィギュアに夢中な、 今思えばませた怪獣少年だった。 初期のウルトラシリーズをデザインしていた成田亨さんは憧れだったし、 レイ・ハリーハウゼンと並んで、 その影響からはきっと死ぬまで逃れられない。

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『シン・ゴジラ』 でもそうだったけれど、 庵野監督が関わる怪獣は総じて眼が極端に小さい。 それが凄みとなってとても良い。 逆に眼が大きくなると、 生物は急に子供っぽい印象になる。 これは成長バランスに所以していて、 魚でも同じこと。 自分はカワイイものよりキリッとした眼の成熟した姿にどうしても惹かれてしまう。

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早いもので、 本州での渓流釣りは今週末で禁漁。 今年最後の釣り納めにと出かけた先で、 思わぬ雨に降られた。 魚の活性もあがりそうなんて思っていたら、 なんでもないところで思いがけずにスリップ。 とっさに岩に手を付いて、 危なかったと安堵していたら、 その手の甲にポタポタと鮮血が落ちていることに気が付いた。 「やばい」 と顔に手をやると真っ赤。 どうやら瞬間的に目の前の岩にぶつけたらしい。 携帯を取り出して自撮り。 画像を拡大して見るとしっかり目尻が切れていた。 釣り納めにはちょっときついハプニング。 思い返せば、 今年もたくさん川に通って、 魚たちの生活を散々脅かしてきた。 濡れた携帯画面に映る自分を見ていると、 川音に混じって 「祟りじゃ〜」 の声が聴こえたような。。 南無三宝。

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TOKURO AOYAGI 青柳 徳郎

NEPENTHES ディレクター。 1970年生まれ。 東京都出身。