人の柄

発売中の『NEPENTHES in print』#9、スナップ特集 ”PORTRAITS IN STYLE” での撮影は、NEPENTHESの各店を拠点に撮影されいる。ご協力いただいたモデルの方たちは全て店からのスカウト。前回(#4)に引き続き今回も撮影を担当してくれたカメラマン山田陽と各店へ訪問して、モデルの皆さんと合流し、ロケハンをしながら撮影した。

そんななか、前回のスナップ特集で撮影させてもらった方が、陽が来ていると聞いてわざわざ会いに来てくれるというケースが幾度かあった。全部の撮影に立ち会えた訳ではなかったのに、そんなことが複数回も。これにはちょっとびっくりした。全ては彼の人柄の賜物か。頂いた差し入れを手にニコニコしている陽を見て、カメラマンが天職だなあと思った。うちの店長達ともすぐに打ち解けて、札幌のスタッフとは一緒にトレランのレースにまで出場している。縁を繋ぐことができる人は、基本的に優しい。勝手に仲間がどんどん増えていく。それは素晴らしい才能。

日本では「スナップ特集」という言葉が浸透しているのでそう説明しているけれど、「スナップ」という言葉がうちに相応しいとは思っていない。指をパチンと鳴らす、英語だとそれが「スナップ/SNAP」。頭の線がパチンと切れて怒るような時にも使う。「スナップ」という言葉には、何か簡単に済ませるような、パッとやってパッと消えるような印象がある。

自分たちがやるなら、モデルの方々をしっかり丁寧に撮って、その人を構成するエッセンスを引き出したい。自分の「スタイル」を持ってる人は、着ている服からその人の柄が透けて見える。それが文字通り、人柄だ。それを記録するにはやはりポートレイト。スナップじゃ物足りない。それは、決してパッと消えるようなものではないから。刷り上がった44の「スタイル」、ぜひご覧ください。

春もののサンプルが並ぶプレスショールームに、入荷間近の新サンプルが到着。このキリッとした茄子紺色の絞り染めの粋なシャツは、久々に展開が再開する〈NOMA t.d.〉の新作で〈NEEDLES〉とのコラボレーション。入荷は来月末予定。これから各メディアを通じて紹介していきます。

実は〈NOMA t.d.〉は、来秋冬の〈ENGINEERED GARMENTS〉のコレクションにもテキスタイルデザインを提供している。店頭展開は今秋。ちなみに、彼らのブランド名にある「t.d.」は、textile design の略。テキスタイルデザイナーとしての思いが見える。

〈NOMA t.d.〉を運営するのは、野口真彩子と佐々木拓真の二人。彼らはある時から事務所の一画を週末のみ開放しだした。すると、これまでの発信欲を吐き出すかのように、次々と様々なアーティストの展覧会を開催。本まで制作してしまった。元々アートに造詣が深い二人だけれど、そのバイタリティには驚かされた。住宅街にあるそのオープンスタジオのようなスペースは、イベントの無い週末も彼らの店として機能して、人が人を呼び、今やすっかり定着している。誰からも愛される二人だからこそ為せる業。これも人柄。

畳み掛けるように〈NOMA t.d.〉とは、NYと日本全国を股にかけたプロジェクトも遂行予定。好機逸すべからず。乞うご期待。 

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TOKURO AOYAGI 青柳 徳郎

NEPENTHES ディレクター。1970年生まれ。東京都出身。