ギロッポン

若い頃、六本木はキラキラ、ギラギラしていた。背伸びして夜遊びしてみるものの、そこを楽しむための情報も予算も持っていなかったので、今考えればただ街をパトロールしていたようなもの。他人の笑いに煽られて、”七色の黄昏が降りて”きたら、なんとなく”おめかししている”街へ繰り出してしまった青年。そんな青年をいつも優しく迎え入れてくれたのが、六本木の青山ブックセンターだった。当時は24時間で営業してくれていて、有り余ったエネルギーをたくさんの本で吸収してくれた。お気に入りだったのは二階部分にあった写真集のコーナーで、随分と長居してご迷惑をおかけしてしまった。メイプルソープもビアードもベーコンもみんなそこで知ったのだ。街で何も起こらなくても、それで帳尻が合った。インターネットがない時代の良き思い出。

本店はもちろん青山。オフィスが近いので今もよく利用させてもらっている。『NEPENTHES in print』もご贔屓にしてもらっていてとても嬉しい。昨日行ってみると、入り口に『検索でたどりつかない、本とアイデアを。』の文字が。その看板に偽りなし。いつも本当に素晴らしい品揃えで、本棚を眺めているだけで四方八方に興味が湧いて終わりがない。インターネットでは体験できない楽しい時間。この日は古書フェアーもやっていて、思いがけず吉田カツさんの本を購入。全く頭になかったのに見たらビビッと頭が反応。これが本屋巡りの面白さであり、その存在価値だ。服屋にとっても参考になりそう。

うちのオフィスで最近話題なのがこちら。向かいのビルの屋上に突如現れた物体。

これは紛れもなく、人が大胸筋を中心に上半身を鍛えるためのベンチプレス器具。 秋を迎えたこの時期に。誰が何のために、この野外トレーニングセットを設置したのか?ベニスのマッスルビーチばりに、上半身裸の屈強な男が突然現れるんじゃないか?と毎日皆で注目してる。設置されて一週間、その姿を見た者は誰もいない。今日はあいにくの雨。取り残されたトレーニングセットは、ずぶ濡れのまま誰かを待ち続けている。

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TOKURO AOYAGI 青柳 徳郎

NEPENTHES ディレクター。1970年生まれ。東京都出身。