みんな酒場で大きくなった

河出書房さんから本が届いた。太田和彦さんの『みんな酒場で大きくなった』の文庫版だ。角野卓造さん、川上弘美さん、東海林さだおさん、椎名誠さんなどなど、酒を愛する豪華な著名人をゲストに “酒の達人” 太田和彦さんが杯を重ねたひと時が一冊にまとめられている。もちろんしっかり居酒屋もセレクトされていて、たまに寄るお店もちらほら出てきて楽しい。それぞれの人が何をどう頼むのか、そこから人となりを想像できるのが酒飲みの特権。酒と太田さんというフィルターを通してリラックスしたゲストとの会話は、この上ない酒のアテ。こんな本を片手に家飲みしたら次の日は確実に二日酔いだ。

太田さんと言えば一人飲み。お話を聞けば尚更で、それができてこそ大人の男という気はするのだけれど、やっぱり自分には難しい。一人だと外で酔えない。途中で冷めてなんだか落ち着かない。自分にとって酒はほとんどの場合人と飲むもの。男が集まって酒もなく話をする方がなんだか照れくさい。思えばこれまで何千回飲みに行ったんだろう笑。仕事の夢も、趣味の話も、みんな酒場で語った気がする。そんな時間が自分を育ててくれたのは明白な事実。改めて、酒場に感謝。

「酒は会話の句読点になり、相手の話を、盃を手にうんうんとうなずきながら聞いているのは、黙って相手を見ているよりは互いに楽だ。どう答えて良いか迷う時など、一杯含んで間を持たせ、おもむろに切り出すこともできる。」(本書より抜粋)

実は、この本の巻末には、NEPENTHESホームページでも掲載中の太田和彦さんのロングインタビュー『ALONE AT NIGHT』の全文が、ボーナストラック的に挿入されている。微力ながら、お役に立ててとても嬉しい。お買い得です!

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TOKURO AOYAGI 青柳 徳郎

NEPENTHES ディレクター。 1970年生まれ。 東京都出身。