#10 暮らし

もちろん住む家はとても大切。
玄関ドアを開けた瞬間の感じでだいたい決まるもんだ。
間取りがよくても、この感じがないと決められない。

そして住む「街」もとても大切だと思う。
電車を降りる。
階段を下る。
改札を出る。
右と左を見渡して、歩いてみる。
街の空気はどうだろう。
そこを歩く人たちの顔つきはどんなだろう。

ぐるり山手線があって
ど真ん中を横に突き抜ける中央、総武線があって。
ぐるり山手線から方々にいろんな線が地上やら地下やらに伸びる東京。

1つ1つの駅に、それぞれの街があり
そこには文化や繁華街がある。
流れる街の空気は違うけど、独立した「街」が
1つ1つの駅ごとに存在する。

生まれ育った鹿児島には天文館しかなかったわけで
やっぱり東京ってすごいと思う。

今住んでる街がとても気に入っている。
急行は1つ前と1つ先に止まる。やっぱり急行が止まる駅は賑やかで大きい。
僕が住む街は
まるで取り残されたようにゆったりとした時間が流れている。
それでも渋谷まで7分なのよ。

商店街にはじいちゃんばあちゃん子供たちが多い。
年中行事が行われて、町内会費だって払ってる。

ドトールの店先には椅子が置いてあって
いつも同じ時間にじいちゃんがアイスコーヒーを飲んでる。
いたずら好き遊び盛りの小学生が悪いことするとガチで怒鳴る。
子供たちはとても元気で楽しそうだ。

近所のわけわからん大人たちに怒鳴られたり挨拶したり褒められたり。
学校帰りに顔見知りのおばさんにおやつ買ってもらったり。
ここには久しぶりの景色が当たり前にある。

夜の写真しかないのが切ないんだけど(しかも閉店してるのが多い 汗)
好きなお店を紹介してみます。

『木こり食堂』 おじさんとおばさんはそれぞれ長いカウンターの両端にいながら
各々が独り言を言っている。でもなんか仲良さそうだ。
僕は「じゅうじゅう焼き」が大好きだ。テレビを見ながら食べるのだ。

『富久味』
かつては洋食屋だったらしいのだが、僕がこの街に越してきた時には
もうケータリングしかやってなかった。
お昼になったらお店の前にお弁当が並ぶ。
たくさんのおかずが入って種類も豊富。そしてうまい。
14時過ぎたら驚きの¥300にプライスダウン。

『来々軒』
お手本のような名前だが、昭和8年創業の中華料理屋さん。
つまり88年とかそんぐらいの歴史あるお店。
ひろーい店内に余裕の客席。じいちゃんばあちゃんが独りで食べてる姿もちらほら。
というか若い人たちを見たことがほぼ無い。
僕は五目焼きそば(麺やわらかめ)とコーラを頼む。うまい。

『ふかや』
夏に浴衣の着付けをしてもらいに行った。
坂田師匠似のじいさまが着物とか作務衣とかを流石に着こなしていてかっこいい。
EXILEとか大使館の人たちとか着付けてるらしい。
祐天寺の盆踊りで師匠と奥様に再会し、一緒に踊った思い出。

『祐天寺DINER』
一度しか行ったことないんだけど、美味しかった。
福岡から東京にやってきたお店らしい。
ローカルがきつくていつも二の足を踏んでいるのだけどまた行きたい。
というかちょいちょい行きたい。

『おぐにちゃん』
街の中華料理屋さんのお手本的たたずまい。
ポマードでビシッと髪をセットしたおぐにちゃんが
黙々と中華鍋を振る。決して愛想はよくないけど
メニューも多くて量も多い。一度食べたらもっかい行きたくなる。
メニューに「コーラ」って書いてあるのに注文したら
外で買ってこいと言われる。
深夜、自転車に乗ってかえるおぐにちゃんを見ると
なんかいいことあるんじゃないかって思う。

『越路』
のり巻き、いなり寿司、総菜の種類豊富。
そして団子、さらにはおにぎり。どれもほんとにうまい。
おにぎりはロケの時に買って行こうかと思う。
イートインになっていて、店内ではラーメンとか餃子も頼める。
おばあちゃんがいつも話しかけてくれてうれしい。
いつもニコニコ爆笑してるばあちゃんと話していると
ここが東京っていうのをしばし忘れる。

『アンチエイジングの店(店の名前不明)』
夜見るといつもギョッとする。

『YOU&I』
とにかく何でも持ち込み自由なカラオケ屋。
むしろ店内で注文した方が高くつく。
ボロくて小汚いけどなんか落ち着くしブチ上がる。

『808倶楽部』
店主であり野菜ソムリエの資格を持つ大塚さんは僕と同い年。
晩飯の相談にいつも乗ってもらっている。
現状打破と向上心が素敵な人だから、お店の前を通るのが楽しい。
そして23時すぎまでやっててくれるからうれしい。

かゆいところに手が届く野菜詰め合わせ。

お客さんを喜ばせるためにやってみたらうまくいったのだそうだ。
うまく行き過ぎ!(笑)

気がつけば4月。
桜はもう散ってしまったけど
あったかい春はもうすぐそこ。

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A.D.O 亜童

A.D.O 亜童

フリーランスの編集者、ライター、ディレクターとして雑誌やWEB、広告、映像のディレクションをつとめる。昨年、自身のクリエイティブ・カンパニー「E inc.」を設立。新たなコミュニケーションを模索中。人生一度きり、の思いを掲げ、自らのお尻を叩きながら前へ前へ。鹿児島出身、目黒区在住。
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