初もの2023

遅ればせながら、 初夢の話。 切符を買って電車に乗ったのに、 旅の目的が思い出せない。 車窓を横切る駅名も数字の羅列や意味不明の漢字三文字で、 どこにいるのかさえ分からない。 まるで、 つげ義春の世界に入り込んでしまったかのような気分で、 不穏な朝を迎えてしまった元旦。 混迷の2023年を覚悟していたけれど、 今のところは迷わず順調で一安心。

初ライブは、 青山ブルーノートでの 「ロバート・グラスパー・トリオ」。 ピアノのロバートがドラマーとアイコンタクトしながら作るグルーヴにベースがブリブリ乗ってくる高揚感。 そこにDJプレイも加わって、 今の音を存分に楽しめた。 つい先日のグラミーでも、 最優秀R&Bアルバム賞を受賞してしまったロバート・グラスパー。 今度は5月に再来日することが決まったそうで、 日本がよっぽど気に入ってるのかな?

初映画は、 『THE FIRST SLAM DUNK』。 暗転してオープニング曲のベースラインが大音量で鳴り始めた途端、 首根っこを持ってかれて投げ飛ばされた感じ。 素直にかっこよかった。 実は小中高とバスケットボール部で、 中高時代は4番を付けて部長。 その頃の運動部は軍隊さながらで、 指導者は鬼軍曹。 当時を思い返すのには正直痛みを伴っていた。 でも、 映画館に響く体育館の音を久々に聞きながら、 そんな傷もすっかり癒えてしまっていることに気がついた。 来月もう一度観よう。 “愛を撒き散らすロケットになったツバメ” を歌うオープニング曲は、 THE BIRTHDAYの楽曲。 NBAなど普通に考えたらヒップホップの印象が強いバスケの世界に、 骨太なロックを起用するところが日本の漫画文化ならではですごく良い。

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ツバメといえば 「RHODOLIRION」 のシンボル。 春夏新作のリリースラッシュで、 こちらも今まさに愛を撒き散らし中。 先週ちょうど来秋のイメージビジュアルを制作していて、 撮影を担当してくれている カメラマン森健人君 と久々に会って話していたら、 なんとロバート・グラスパーの撮影をした!と聞いてビックリ。 すごく良い写真だった。 森君は同じ杉並区出身だったり、 色んな場面で縁を感じる存在です。

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初読書は、 常見忠『忠さんのスプーン人生』 (地球丸)。 日本におけるルアーフィッシング黎明期から活躍された著者の歩みをエッセイで振り返る一冊。 ルアーというものを誰も知らなかった時代の釣りの話は浪漫に溢れすぎていて、 タイムマシーンがあったらなあと妄想せずにはいられない。 著者が大兄と慕う開高健さんと鱒族を追い求め、 ついには海外まで行きついてしまう熱量。 そして、 その原動力として、 そこに夢を見られるスポンサーがあったという当時の社会状況も楽しい。

今年はSOUTH2 WEST8チームも、 いよいよアメリカでのテンカラ釣行を計画しています。 コロナ禍以降の初海外。 そろそろ準備に取り掛からねば、 ということで、 初買い物は 「SOUTH2 WEST8」 の新作。

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SOUTH2 WEST8はブランドとしても店としても、 今年が記念すべき20周年イヤー。 この春は北海道発信の新プロジェクトを始め、 札幌でのイベントや20周年スペシャルコラボレーション企画も準備中。 ベン・ミラーとのコラボレーション第二弾もリリース間近で、 SOUTH2 WEST8界隈が騒がしくなりそうです。 是非ご注目ください。

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少し遡って、 昨年末からボディブローのように効いてくるのが、 GAUZE解散のニュース。 ハードコアパンクってどういう音楽? と聞かれればGAUZEと応える、 そんなかっこいいバンドだった。 ラストアルバムがすこぶる良くて聴いていたので、 もう存在しないとわかると余計寂しい。 「ロックが好きな訳じゃないし、 楽器触るのが好きな訳じゃないし、 ただGAUZEがやりたかっただけ」、 YouTubeで観たラストライブ後のコメントに痺れた。

おまけの初開花。 多肉質の葉に似合わない華やかな花のギャップが◎。 今年は二箇所から花芽を出してくれて嬉しい。 毎年恒例の春のサイン。

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TOKURO AOYAGI 青柳 徳郎

NEPENTHES ディレクター。 1970年生まれ。 東京都出身。