#40


誘われるがままに出かけた代官山のライブハウス。
かつて自分も歌わせてもらっていた小さくて素敵なハコ。
音楽をやめてから一度も足を向けることはなかった。

演奏が始まる。
ノルウェーからやってきたトリオの旋律が
少しずつ混ざっていくのが分かる。

目を閉じると自分がどこにいるのか分からなくなって
気がついたら涙が流れていた。
悲しくもないのに。

ものすごい瞬間瞬間の重なりが、何を見せてくれたのか。
脳みそが言語を探す前にカラダが涙を流させた、そんな感じ。
ものすごい音楽に立ち会ってしまった。


1日1日は相変わらず猛スピードで流れていて
ふと空を見上げると、思わず立ち止まってしまうような景色に
出会うことができる。どこにいても。
季節が変わっていく境目は、やっぱりたまらない。


「やばい、やばい」とヘロヘロになりながら
世の中に差し出したTHE DAYが9月24日に発売になりました。
どうかたくさんの人たちの手に取ってもらえますように。
表紙は大好きな大好きなトミー・ゲレロ。
2度目の正直。実現できてとてもうれしかったのだ。

終わった瞬間からもう次へ脳みそはシフトしていて
次にやりたいことを考えてそわそわ、うきうきしている自分がいる。


時間が少しできたら、大好きなバーへお酒を飲みにいく。
閉店間際、清志郎さんの「ヒッピーに捧ぐ」が流れる。
やっぱりなんだか涙がでる。


走るのはいつも夜中。
朝早く起きて試してみたけど、自分は夜中がいい。
1日の終わりに、しんとした真夜中にぽつんといるのは
気持ちがいい。
駒沢公園のラインが好き。


そうして家に音楽が流れ始めた。
レコード熱、再燃。
針を落とす瞬間は、ライブが始まる直前の高揚感に
ちょっとだけ似てるような気がする。


考え事しながら真夜中だろうが突然思い立って掃除を始める。
急に寒くなってきたらあったかい服を出さないと。
あと2着で衣替えが終わりそうなんだけど
あんまりにも気持ち良さそうだったから
他の作業をすることにした。

とても愛しかったり涙もろかったり
心のひだひだが敏感になっているのは
急にやってきた秋のせい。

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A.D.O 亜童

A.D.O 亜童

フリーランスの編集者、ライター、ディレクターとして雑誌やWEB、広告、映像のディレクションをつとめる。昨年、自身のクリエイティブ・カンパニー「E inc.」を設立。新たなコミュニケーションを模索中。人生一度きり、の思いを掲げ、自らのお尻を叩きながら前へ前へ。鹿児島出身、目黒区在住。
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Instagram :@adoman1978