「おじさんがんばる」とか「すごいよおじさん」とか自分では冗談で言いますが、人から「おじさん」と言われると、ほんとにおじさんのような気がしてくるので「おじさん言うなーっ」と言います(笑)。女の人が「わたしもうおばさんだから」とか「もう年だしね」なんて口に出したらその時点でああ、確かにもうあなたは年な感じがするなあ、と思ってしまいますし、そんなふうに見えて来たりもします。ちょっと謙遜したりジョークのつもりで吐きだした言葉だとしても…。言葉の力はすごいです。
電車や街を歩いていて、後ろ姿だけ見ると20代ぐらいに見えるんだけど、ふとした時にフロントを覗いてびっくりすることがあったり、娘さんと一緒にお出かけ中であろうお母さんが、おそらく娘さんに洋服のテイストを合わせたのか娘さんから借りたのか、うーむ、まずい感じに仕上がっていたりします。年を重ねることによって、美しいものや心に響くものは変わっていくと思うし、若い頃は全然だめだったものが、年を取ることで似合うようになったり好きになったりしていくと思うし。だから無理して若造りしなくてもいいのになあと思うのです。とは言え、無理しておじさんおばさんらしく、を意識して色味とかテイストを自ら決めつけることもないかと。あまり「自分はいくつだから…」とか気にせず、自然に過ごしていければそれが一番いいなと思います。
「いくつ??」と人に聞かれることは日常生活の中で少なくないのですが、最近はやっと実年齢と同じぐらいで言い当ててもらえるようになってうれしいです。
15歳、つまり中学3年生の卒業式当日、急いでいたので特別にタクシーに飛び乗って駅へ。タクシーの運ちゃん:「兄さん今日は卒業式なんだね」わたし:「そうなんですよー。遅刻しそうなのでなるべく早めにお願いします」運ちゃん:「はいはい。今不況だからねえ。兄さん就職先は決まったの??」わたし:「えーと。15歳なので中学の卒業ですね」
大学1年つまり20歳頃居酒屋で。居酒屋兄さん:「兄さんよく飲むねえ。カラダ気をつけないと。ところでいくつ?」わたし:「なははーいくつに見えます?」酒屋の姉さん「36歳ぐらいでしょ!」わたし:「いやいやもうすぐ成人式ね」
雑誌のライターを始めてしばらく経ったある日。某R●P S●IMEさんたちのインタビュー時。親切に色々と答えて頂いたあとインタビュー終了時に聞かれた一言。「年齢不詳ですよねー。ADOさんっておいくつなんですか?」わたし:「24です」●IPの方。「えっっっっ!オレらより年下!?うわー緊張して損したわー笑」インタビューなどさせて頂く時は、実年齢よりも上に見てもらえていたので随分助かりました。
最近facebookにて、友人が僕の大学生の頃の写真をアップしていたのですが、これがまたほとんど変わっていないのでした。肌艶とか目のタレ具合は多少進行しているとはいえ。大学の頃は酒の飲み過ぎと栄養不足で顔色が悪かったんだと思います。そりゃあ老けて見られてもしょうがないです。大学の頃、がんばってローンして買ったビデオカメラ。色んな瞬間を撮っていたのですが、引っ越しの時に出てきて、ちらり見てみたのですが、えーと、言動も変わってないですね(笑)
先日はたいせつな友だちの結婚式へ。旦那とは共に4年間、音楽とお酒にどっぷり漬かった仲です。式の後続くパーティはプチ同窓会の様相へ。久しぶりに会った仲間は太ったり禿げそうだったり、禿げたり(笑)、ヒゲだったりロン毛だったり、家を買ったり子供産まれたり。いろんな人生歩いてる友人たちと話す内容は、全く大学の頃と変わらない、くだらなくって下世話な話ばかり(笑)あったかくて素敵な時間でした。
こうしてたまに自分はどんな感じなんだろう、と足並みを見ながら、それでも特に比べることなく、自然にうれしく年を重ねていけたら、と思うのです。
写真は最近のスナップです。
亜童 A.D.O
フリーランスの編集者、ライター、ディレクターとして雑誌やWEB、広告、映像のディレクションをつとめる。雑誌『THE DAY』(三栄書房刊)のクリエイティブディレクターとしても活動中。人生一度きり、の思いを掲げ、自らのお尻を叩きながら前へ前へ。
鹿児島出身、目黒区在住。
http://thedaymag.jp/