Endangered River Project

少し前にインスタグラムで見かけて気になったのがカニエ・ウェストの投稿。 直筆のメモの写真で、 「MY FOCUS IS ON BUILDING REAL PRODUCTS IN THE REAL WORLD….DO NOT ASK ME TO DO A F*CKING NFT」 と書かれていた。 内容的には、 俺はリアルな世界でリアルなものを作り上げることに集中する、 NFTをやれというのはやめてくれ、 といったもので、 どっちかというと少し意外だった。

NFTとは仮想通貨で購入するデジタルアートとのこと。 デジタル作品は偽造コピーが問題だったが、 その作品を所有しているという証明書が偽造不可能な形で作れるようになったことから、 資産価値が生まれた (少し複雑)。 所有というのは、 つくづく不思議な欲だと思う。 ほとんどの場合、 所有物の寿命は皮肉にも持ち主より長い。 家にある全てのものが、 生きている間この瞬間に自分の近くにあるだけのような、 期間が長めのリースのような気がしないでもない。

NFTのように形の無い物となると尚更で、 大好きな坂本龍一さんの曲の一音を自分のものにしたいというような欲も沸かないのだけど、 これは良いなあと素直に思えた。

Ben Miller : Endangered Rivers Project

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来シーズン 〈SOUTH2 WEST8〉 とのコラボレーションアイテムのリリースが決定しているアーティスト、 ベン・ミラーのNFT作品。 彼はフライフィッシャーマンとして、 一人の人間として、 川の自然環境の保全への意識から、 危機に瀕している川を描くシリーズ 「Endangered River Project」 を制作している。 モンタナの川を描いた作品が流れるように動く様はデジタルならではの表現で、 見ていてとても心地良い。 モンタナは鱒釣りの聖地、 個人的にはひょっとして魚影が見えるんじゃないかという気にもさせられる。

ベン・ミラーについて詳しくは、 〈SOUTH2 WEST8〉 ホームページで公開中。 とってもユニークな彼の作品の制作過程が収められたショートムービーは是非とも観てほしい。 〈SOUTH2 WEST8〉 周辺で最近では、 我らが田我流が参加した『Red Bull RASEN EP15』も必見。 〈SOUTH2 WEST8〉 のホーン・カモフラージュがビシッとキマッてて嬉しい。 詩人はかっこいい。

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もう一つインスタグラムで目に止まったのが、 『セックス・アンド・ザ・シティ』 の新章 『アンド・ジャスト・ライク・ザット』 からの一コマ。 ウォレス役の本人カレン・ピットマンさん(左)のインスタグラムから。

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パトリシア・フィールドさんが手掛けた数々の衣装が常に話題の的だったこのシリーズ。 新たなスタイリストへとバトンタッチされ、 U-Nextで配信中の新章エピソード6からの写真。 ビビットな色の 〈NEEDLES〉 トラックスーツの着こなしがとても素敵で、 靴の合わせ方なんてとても清水さん的。 ドラマをファッション目線で見るのも楽しい。

若者ばかりじゃなく中高年の人たちと話していても、 NetflixやHuluなんかがすっかり浸透しているのを感じるし、 アカデミー賞のノミネート作品を見ても、 その多くがネット配信系からの選出だ。 ご多分に漏れず、 自分もNetflixでの 『ベター・コール・ソウル』 の続編を心待ちにしていて、 来月新シーズンが配信決定とのニュースに小躍りしている。

その前編であり後日譚である (少し複雑) 『ブレイキング・バッド』 を自分に強く薦めてくれたのは、 JEYOKA (ヘヨカ) の大野さん。 ネイティブ・アメリカンが作るジュエリーを買いにニューメキシコを一緒に旅している最中に、 絶対好きだから観るべきと何度も言われたものの、 そのエピソード数の多さに物怖じしてたら数年が経過。 そこにコロナがやってきて、 意を決してエピソード1を観たが最後。 脚本、 演技、 映像、 編集、 全部にやられて、 今や大野さんに感謝の気持ちでいっぱい。 ドラマの主な舞台が、 ニューメキシコへの旅で途中に必ず寄るアルバカーキや 〈NEEDLES〉 の撮影でも思い出深いエルパソ周辺なのだ。

旅情をかきたてられるのが、 映画やドラマの良いところ。 早くあの真っ青な空の下をまたドライブしたい。 褐色のタオスの大地を流れる川も美しかった。 実は前回の出張で、 その川に鱒たちが生息しているのを確認してしまったのだ。 日本の竿でニューメキシコの鱒とやりとりすることを想像しただけでニヤけてしまう。 スーツケースに最初に入れる荷物は、 テンカラ竿と毛ばりになってしまいそう。

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TOKURO AOYAGI 青柳 徳郎

NEPENTHES ディレクター。 1970年生まれ。 東京都出身。