「Gumroad」はご存知ですか?
最近ローンチされた新しいサービスで、ネット上で大きな話題になりました。簡単に言うと、誰でも簡単にデジタルデータを販売できるシステム。デジタルデータであれば、1枚単位で写真、イラスト、楽曲などが販売可能。使い方も、アップしたデータのURLを貼るだけ。決済システムPaypalを使用。facebookやtwitterのアカウントを使えば、そのまま作品をタイムラインで発表して販売できてしまいます。
手順は4つ。Gumroadにデータをアップ→価格を設定→タイトルやキャプションを入力→商品のリンクをfacebookやtwitterに貼る。
これを作ったのはなんと19歳のデザイナー。
有力ベンチャーキャピタリストから110万ドルもの大金を調達してリリースしたのです。ここにもまた1人、若き天才が現れた、って感じ。手数料は5%。Appleの30%、出版社の90%と比較してみるととんでもないお値段。なにかをクリエイトしている人たちにとっては、流通、そしてお金が入ってくる仕組みが大きく変わる驚異的な発明なのではと思い、ぞくぞくしているところです。
買い手はクレジットカードのナンバーを入力するだけ。とにかく早くて簡単なのです。心配なことと言えば、購入DLしたデータを転売することとかでしょうか。この点はもう少し調べてみようと思います。
このサービスの面白いところは、Gumroadというサービス自体がプロモーション機能や集客力をもっていないということ。楽天やZOZOなどのような仮想店舗というカタチではない、ということ。自分の作品を売るためにはfacebookやtwitterなどのソーシャルメディア、自分のサイトなどを使って告知し、自ら売っていかなければならないこと。大変そうだけど、売りたいのは自分の作品。すなわち自分の分身。どうしたら売れるのか、どうしたら人気がでるのか、どうしたら多くの人に届いて購入という行為を誘発できるのか、などあれこれ考えることになると思います。これが既にマーケティングの思考。ここで自分に眠っていた天才的なマーケティングセンスを発揮してしまう人も出てくるんだろうと思うと、これまたぞくぞくしているのです。
まだまだ弱点はありそうです。ローンチされた日にはおそらくアクセスが集中してしまってサーバがダウンしてしまった模様。これはしばらくしたら解決されるでしょうね。あとは買い手に対して。シンプルな操作性ゆえ、カード番号を入力したらすぐに決済できてしまうところ。セキュリティを気にするユーザーであれば、なかなか奥手になってしまうかもしれません。よく見かける「本当にこれを買いますか?」ぐらいのエクスキューズがあっていいかもしれません。僕はおそらく気にしないと思いますが。
「誰でもコンテンツを簡単に販売できる」という文句が「海賊版を誰でも簡単に入手できる」ということにつながってしまうかもしれないという不安もあったりします。この時にGumroadがどんな対応をしてくれるか。
そんなことを置いておいても、とてもわくわくするサービスだと思います。自分は音楽を作っているので、データを売ってみたいと考えています。ただ、Neil Youngは昨今のmp3音源の質の悪さに怒っており、そうかと思えばBob Dylanは音源はフリーでいいじゃないか、レコード会社の人間が慌てるだけ。そんなことを言っていたような気が。。。
例えば、USTREAMで生で配信をしながら、そこで演奏した楽曲をRECして直後に販売してみたい。今までは知識の乏しさや仕組みを理解できない部分が多かったので気が進みませんでしたが、もう家からでもどんな状況でもできてしまう可能性があるので、ぜひやってみたいと思っています。
Paul Wellerは、自分のライブ直後、その日の音源をライブ盤としてUSBメモリに入れて販売。お客さんは大喜びでしょうね。「フリー」という考え方の元になったであろうPaul Wellerの行動力でした。
「フリー」と「プレミアム」のいい関係がこれからどんどん生まれていきそうです。才能あふれる人たちの作品たちを、もっともっと身近に。楽しみです。
亜童 A.D.O
フリーランスの編集者、ライター、ディレクターとして雑誌やWEB、広告、映像のディレクションをつとめる。雑誌『THE DAY』(三栄書房刊)のクリエイティブディレクターとしても活動中。人生一度きり、の思いを掲げ、自らのお尻を叩きながら前へ前へ。
鹿児島出身、目黒区在住。
http://thedaymag.jp/