成人したみなさん、おめでとうございました。
紋付袴を着て鹿児島市民文化ホールに集合したのはもう13年前。
ついこの前のようだ、とは言いませんがやっぱり月日が流れるのは
ほんとうに早いなあと。
それはそうと、話題になった朝日新聞社説。一部抜粋しますね。
ああ、またオヤジの「居酒屋若者論」か、などと言わずに聞いてほしい。 キミが生まれた20年前、ロック歌手・尾崎豊が死んだ。その時のオヤジより少し下の26歳。雨中の追悼式に、4万人が長い長い列を作ったものだ。 新聞には「高校を中退し、自由を求めて外に飛び出した彼の反骨精神が、僕を常に奮い立たせていた」と投書が載った。 彼が「卒業」「15の夜」といった曲で歌ったのは、大人や社会への反発、不信、抵抗。恵まれていないわけじゃないのに、「ここではない、どこか」を探し、ぶつかり、傷つく。 その心象が、若者の共感を呼んだ。尾崎の歌は高校の教科書にも採用されたほどだ。 ところが最近は、うんざり顔をされることが多いらしい。
オヤジと同世代、精神科医の香山リカさんは毎年、大学の授業で尾崎豊を聴かせ、感想を問うてきた。ここ数年「自己中心的なだけじゃないか」「何が不満かわからない」と、批判的な意見が増えているという。 教室に居並ぶのは、親や世の中に従順な若者たち。キミと同い年なら、石川遼くん? でも、就活の道は険しいし滑り落ちたら、はい上がるのは難しい。時代は、尾崎のころよりずっとずっと生きづらい。 だけどキミたちは「自分にスキルが欠けるから」と、どこまでも謙虚だ。格差も貧困も「自己責任さ」と、受け入れてしまっているようにみえる。 尾崎豊はどこへ行ったのか。
たくさんの人たちが違和感を覚えたように、僕もその中の1人。
尾崎豊はどこにも行ってないと思う。
小田明志くんが、とてもいい文章を書いていました。
彼が作っているメディアも、とてもすばらしいです。
http://blog.honeyee.com/aoda/
尾崎豊に心動かされた(と言っている)上の社説を書いた世代の人たち。そんな人たちが今の世の中を作っていて。そんな人たちが20歳を迎えたばかりの人たちに、どうして「若者よ、奮い立て」と平気で言えるのでしょうかね。尾崎豊に心動かされたのであれば、あなたたちがまず奮い立て、です。
久しぶりにテレビをつけてみれば事件を起こした犯人を「いまどきの若者」として世代一括りに扱うマスコミ。ああ今年も。と、やはり懲り懲りとしてテレビは消しました。いまどきの若者とは?? 事件を起こすのは個人です。年齢は関係ない。なぜその人物の人となりを浮き彫りにせず、本人と関係のない若者をイメージした映像をわざわざ付けて「いまどきの若者」のイメージを植え付ける?どこにも踏み込まず、情報の操作を行う。
正月、鹿児島に帰るたびに必ず飲みにいく和食居酒屋があります。
今年で3回目かな?小学校からの友人が体ひとつ、自分の腕ひとつで切り開いて手に入れたお城。今年、彼ら夫婦には新しい家族が増えていました。正月2日から店に立って忙しく立ち回りながら、うれしそうに携帯を見せてくれました。
料理人になるため、中学を卒業してからその道に入った彼。僕は中学から私立に入ってそのままエスカレーター式で高校へ。その後大学へ行き意味不明な髪型になりながら栄養失調になるような生活を送っていました。
成人式の同窓会で久しぶりに再会した彼は言いました。「アドウは俺らの誇りだから。東京で思いっきりやってきてよ。俺らは頭も悪けりゃなんにもないから」恥ずかしくて情けなくて涙で見えなくなって返事ができなかったのを今でも覚えています。
今、こうして色々と考えながら悩みながら彼のお店にあの頃のみんなが集まって、ものすごくうまいメシと、あったかい焼酎を飲んでたくさん話してたくさん笑って。またそれぞれの1年を過ごす場所へ戻っていきます。
あの頃の20歳。今の20歳。みんないろんな夢や想い、辛いや恥ずかしいを抱えて生きるんです。人生一度きり。
成人のみなさん。おめでとうございます。
亜童 A.D.O
フリーランスの編集者、ライター、ディレクターとして雑誌やWEB、広告、映像のディレクションをつとめる。雑誌『THE DAY』(三栄書房刊)のクリエイティブディレクターとしても活動中。人生一度きり、の思いを掲げ、自らのお尻を叩きながら前へ前へ。
鹿児島出身、目黒区在住。
http://thedaymag.jp/