「明日なら二時間あいている。」
「あ、わたしもちょうど二時間あいている。」
近頃は二人ででかけることがなかなか少なくなってしまったけれど、
その日私たち夫婦は蕎麦屋で待ち合わせして簡単に昼食をすませ原美術館へ向かった。
ボレマンスの絵を見るために。
平日の午後なので会場の人はまばらで、
ゆっくり作品と向き合うことができた。
油絵描いてみたいなあ、油絵は絵の具が乾くのを待たないといけないから時間がいるよ、
そうなのか、うん、あ、もう行くね、じゃあね、今日は遅いの、ちょっと遅いかも、
そんな感じで夫と別れた後も、
ボレマンスのグレーのグラデーションにすっかり心を打ち抜かれてしまって、
考えている途中のこと全てをグレーに塗ってやりたくなってしまった。
夕方までに明日の撮影に花を買いに行かなくてはならないことを思い出して、
いつもの花屋で木蓮を買った。
「ミヒャエル ボレマンス:アドバンテージ」
(英題 Michaël Borremans: The Advantage)
2014年3月30日(日)まで
原美術館
http://www.haramuseum.or.jp/generalTop.html