昨日は耳のことばかり考えていた。
たくさんの他人の耳の形をじっと観察した。
答えを求められていることや、締め切りのあるものや、
欠かすことができない生活の中のこともそう。
待ってくれないことばかりで同時にいくつもの思考が重なって
重いデータを受信している途中のコンピューターのように
頭の中でブーンと鈍い音がしている。
ビジー状態という感じ。
自宅の駐車場には先週末に降った大雪の名残で薄汚れて硬くなった雪。
また今週末にも降る予報。
打ち合わせと打ち合わせの間にぽっかり1時間空いて、
ちょうど恵比寿で開かれている大森克己さんの個展へ行った。
大森さんの写真が私は好きだ。
だからとんでもなく頭はビジー状態だったけれど自然と足がギャラリーへ歩いたのだと思う。
初めて写真を買った。
その写真が必要だと思った。
黙っていても、何もしなくても、特に思考しなくても、
時間は流れていて、
これだけはどんな人間にも平等に与えられたものであって、
どう過ごすか、何を思うか。
大森さんの写真たちは瞬間の思考の記憶の記録をしていて、
そのどれもが平凡にしてドラマティック。
それはもう憧れとしか言えない。
次の打ち合わせには遅れずにきちんと行った。
歩きながら、寒くて仕方がなかったけれどいい気分だった。
大森克己展 “sounds and things”
会期:2014年2月6日(木) – 3月9日(日)
会場:MEM map
open hours:12:00-20:00 月曜休廊
tel. 03-6459-3205
http://mem-inc.jp/2014/02/04/140206_omori_jp/