残暑の東京から一転、セーターやダウンをトランクにつめアイスランドへ。
空港に着くと冬の装備の現地スタッフが迎えてくれた。
北海道と四国が合わさったほどの広大な島国の人口は32万人。
火山国ゆえに植物の背は低く、岩や土の大地が壮大なスケールで広がっていた。
きっと地球の姿が見えるよ、出発前にそんなことを話していたけれど、
まさにそんなような姿をした国だ。
ビョークやシガー・ロスを生んだその土地で彼らの音を聴くと、
それがなぜにどこまでも遮るものがないように広がっていくのか合点がいった。
海、湖、川、豊かな水が溢れ落ちる滝。
すっかり汚れきってしまった日本から来た私たちにとっては、
その全てが眩しく、羨ましく、美しかった。
この国のエネルギー源は地熱と風力。それを学びに来る研究者は多いらしい。
飲み水を外国から買ったり、食品の産地表記に神経質になったり、
町の薬局で仰々しいマスクが普通に買えるとか、
日本がそんなことになるとはつい数年前まで誰が想像しただろう。
日々を過ごしているとだんだん麻痺してしまうけれど、
やはり今、特殊な生き方をしていることを思い知る。