星を見たのはいつぶりだろう。
奥行きさえわからない黒の中に散る光の粒。
この日は深夜2時にロケバスが自宅まで迎えにきてくれた。
九十九里の海辺で日の出とともに撮影をはじめるためだった。到着したのは4時。ピュアリネンの長袖シャツでは少し寒いくらいで、いよいよ夏も終りだな、と思う。
星を見たのはいつぶりだろう、それくらい見ていなかった。夏のオリオン座は好きだ。冬は少し悲しげなオリオン。好きだと言ってもそれくらいしか星座が見分けられないだけだ。プラネタリウムも好きで、よく通ったけれど星座を覚えることはできなかった。10月にはオリオン座流星群というのが観測できるんだ、と天文部だった友人が言っていたのを思い出す。
流れ星もいい、星を見に行くだけの旅とか。
そんなことをぼんやり考えていると空はいつの間にか白けていて、光の粒もなくなっていた。
オリオン座流星群
全流星群の中で二番目に速度が速い流星群。そのため、明るい流星が多く、有痕率も高い。眼視観測では観測しやすい流星群といえる。母彗星は1P/Halley彗星。ピークはたいへんなだらかで、10月21日付近にピークを迎える。
出典
HandBook for Visual Observation (The International Meteor Organization) (1995)
A new Working List of meteor showers (Rainer Arlt et al), WGN 34:3 (2006)