パパはね。。しばらくブログ書いてなかったね。。ちょっと忙しかったんだよね。
パパの大事なお友達の娘さんが心臓の病気になってしまった。アメリカに行って心臓を取り替えないといけない病気だった。それにはすごいお金がかかるんだ。そうだね、パパが一生働いても作れないくらいのお金なんだ。だから、募金とかを沢山の人にお願いしようと思っていろいろと頑張っていたんだ。。
アメリカの病院も決まっていた。でも、アメリカに行けなかったよ。その前に亡くなってしまった。
とても優しい女の子だったんだよ。
女の子の肺や肝臓は他の病気の人の体に入ったんだ。女の子は脳死になってしまったから。パパのお友達の決断はとても尊敬できるものだった。「困っている人がいたら助けるのが当然だ」って。パパもそう思うよ。肺は小学生の女の子にあげたんだよ。健康な肺をもらって嬉しかっただろうね。これから大きくなって、いろんなところに旅行に行って世界中の空気をその肺で吸ったりするのかな。他にもいろんな人の命を救うことになったんだ。
お葬式に行って女の子の写真を撮った。とてもキレイなお顔だったよ。
天国があるのかどうかはパパはわからない。でも、もう苦しかったり、痛かったり、悲しかったり、、そういうことからは解放されたんだね。
でも、でも、、やっぱり納得できないよ。パパは悲しい。
パパはね。。今回でこのブログを終わりにしようと思うんだ。
これを始めたのは2012年の8月だった。その頃キミはこんなに小さかった。
パパはね。。今までのブログを全部読んでみた。いろいろなことがあったね。いろんなところを旅したね。読み返してみると恥ずかしい箇所もあるね。でも、書いた時は真剣だったんだ。病気の子供を持つ親の為に書いてきたんだ。健康な体の子供じゃなくても、楽しいことが沢山あるってことを伝えたかった。その結果、そういう人達から沢山のメッセージをいただいたね。少しでも何かの役に立てたのなら、一瞬でも笑ってもらえたのならパパはとても嬉しいし、このブログを書いてきて良かったなと思うよ。
写真展やったり、「蝶々の心臓」って本になったり、、思いがけない展開になったね。おかげでパパもいろんな体験をさせてもらった。キミに感謝だね。これからも病気の子供達の為にパパができることをやっていくつもりだよ。
気がつけばキミはもうすぐ6歳。こんなに大きくなったね。
正直言って、段々と書くことがなくなってきていたよ。笑 これはとても嬉しいことだね。病気のことを考えないで生活できる様になってきたからだね。気をつけなければならないことはあるけど、普通の女の子と同じような生活ができるようになったね。これからも運動には制限があったり、合併症が起きる可能性もあったりするんだけど、、もうそれはパパの心の中では解決済みなんだ。カルペディエム(今を生きよ!)だね。
キミの病気のことを受け入れるのには時間がかかったよ。でも、もう大丈夫。このブログのおかげでパパは気持ちを全部伝えることができたから。「蝶々の心臓」の中表紙には「10年後のキミへ」って献辞を書いた。15歳くらいになったら読んでおくれ。
4月からキミは小学生。信じられないね。ランドセルも買ったね。放課後は近くにあるパパの道場においで。お友達も連れてきていいよ。道場のマットの上で遊んでいいよ。柔術のクラスも頑張ってね。一番小さいからヤラれてばかりだけど、いつかきっと上手になるよ。クラス中は「パパ」じゃなくて「石川先生」って呼んでくれるね。ちょっと変な感じだけど好きだよ。気が引き締まるんだ。
パパはね。。パパはね。。
キミのパパになれたことに毎日感謝しているよ。
これまで私の拙い文章に2年半に渡りお付き合い頂いてありがとうございました。
ファッションの会社のHPで、このような内容のものを掲載して頂いて良いのかな?
と葛藤はありましたが、清水慶三社長のご厚意で好きなように書かせて頂いていました。
ネペンテスの皆様、そしてこのコラムを読んで下さっていた方々には
とても感謝しております。
コラムはこれで終わりになりますが、
僕と娘の日常はFacebookに書いたりしていますので
そちらでよろしくお願いいたします!
https://www.facebook.com/Aoyamabjj
石川祐樹
Engineered Garments のスタッフさんと
好評発売中!
このコラムから初の書籍が誕生しました。
ある格闘家の戦いの記録。
いまを残したいというただそれだけの、
でもとても切実な祈り。
日々の小さな幸せは、
実は奇跡の連続なのだと気づかせてくれる。
写真家・川内倫子
「3回手術すれば生きられます」。娘が誕生した翌日、聞かされたのはそんな言葉でした———。
格闘家として身体を酷使してきた父が、心臓疾患を持つ娘との日々を綴った人気ブログ「パパはね。。」を書籍化。軽やかな文体の中に見え隠れする、生と死の脆さ、命のたくましさ、母娘の強さが、著者自身の撮影による瑞々しい写真とともに心を打ちます。
木村伊兵衛写真賞受賞写真家、川内倫子氏も絶賛。