パパはね。。キミの初めての運動会の朝、大きな決断に迫られていた。右手にいつものフィルムカメラ、左手にデジタル一眼カメラ。どちらで撮影しようか。
キミの写真はずっとオンボロのフィルムカメラで撮り続けて来た。運動会はやっぱり特別だ。動いているものをちゃんと撮るにはデジタルカメラが良いんだ。望遠レンズもあるから遠くからでもキミの表情をバッチリ撮ることができる。カシャカシャと1000枚くらい撮影すればきっと良い写真も撮れるだろうし。
パパのフィルムカメラにはオートフォーカスもない。連続シャッターなんてもちろんない。望遠レンズもないし、走ってくるキミに一発でピントを合わせる自信もない。
でも、フィルムカメラにした。そうだよね。うん、最初からそうなることは分かってた。それしかないじゃん。
この日は快晴!空の色がキレイな日だった。腕にピントが合ってるね。笑 こんな写真ばかりだ。お友達のお顔がちゃんと写っている写真は出せないんだよね。そういう決まりなんだ。写真が撮りにくい時代なんだよ~。パパが子供の頃はそんなことなかったんだけどなぁ。。あの頃はみんなフィルムだったんだよなぁ。撮り終わったフィルムを写真屋さんに出してさ、3日くらいするとプリントされて戻ってくるんだ。みんなドキドキしながらそれを見たんだよ。パパは今でもそうしているけどね。笑
キミにとっては人生最初の運動会。ダンスでは「リーダー」になって沢山練習を頑張ったそうだね。リーダーとして名前を呼ばれてみんなの前でダンスしたね。パパは撮影しようと思ってファインダー越しにキミのダンスを見ていたけど、シャッターを切る前にカメラを置いた。ちゃんと両目でキミのダンスを見たかった。「撮らないことも大事だよ」ってパパの写真の先生が言っていた気がする。
「リレー」もよく頑張った。コーンでターンする前のキミを撮影した。キミが他の子達と一緒にリレーに参加してる。これってスゴイことなんだ。走るのはそんなに速くないみたいだね。お気に入りの「瞬足」シューズだったんだけどなぁ。
運動会は無事に終了したね。園長先生がみんなに「メダル」をかけてくれたね。キミだけが帽子のツバをフリップアップしているところがカッコよかった。
パパはね。。もどかしかった。。パパのカメラのレンズにはズームがないからこんなに小さくしか撮れなかった。近くでバッチリ撮影している写真屋さんはズルいよね。笑 パパはラインを超えてホフク前進でキミに接近したかった。
パパはキミが入院していた時は、こんな日が来るとは思えなかった。でもキミはいくつもの「来るとは思えなかった」を実現させてパパとママにプレゼントしてくれた。ありがとう。これからもよろしく頼むよ。そのメダル大切にしよう。宝物だ。
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