パパはね。。基本的には面倒くさがりで、「出不精」なんだよ。デブショウって解るかい? あまり外に出たがらない性格ってことさ。お休みの日はずっと家にいてコーヒーを飲みながら読書したり、DVDを観たりする。。パパはそんな生活だったんだよ。キミが生まれるまでは。キミとカメラのお陰でパパは外に出るのがすごく好きになった。銀杏もカエデもずっとキレイなわけではないからね。チャンスがあったらすぐに出かけないとね。
でもカメラを持ち運ぶのは今でもちょっと面倒。昨日の夜は疲れてた。重いカメラを持って家に帰るのがキツくて道場に置いてきた。今朝、窓を開けたらキレイな青空だった。家の前の路地でもよいからキミを撮りたいなって思った。カメラを持って帰るべきだった。。パパは悔しい。
キミが生まれる前は空の色なんて気にしたことなかった。アスファルトだけを見て歩いていた。ホント、キミに感謝すること多いよ。
パパはこのブログを書くのを楽しんでいるよ。でもたまには辛いこともあるんだ。それでも書き続けるつもりだよ。いつか、キミに読んでもらおうって思ってる。10年後くらいかな。。キミに読ませるためだけなら他の人に公開する必要はないよね。パパがこうやって何でも包み隠さず書くのは、パパと同じような人を元気づけたいからだよ。
「肺動脈閉鎖」「フォンタン手術」「右室低形成」。。沢山のパパやママがネットで検索している。キミのパパもそうだった。キミが生まれてから、しばらくは毎日ネットでいろいろと調べていた。出てくるページは読むのが辛いものばかりだった。ページを開いては、「見るんじゃなかった。。」って思うものばかりだった。だからパパは書き続ける。辛いこともあるけど、だいたいは最高にハッピーなパパとママとキミの日常を。
パパはね。。久しぶりにこの写真を見たよ。これを撮ったのはパパじゃない。これはキミが産まれた次の日に撮影されたものだよ。キミの心臓に問題があることがわかった朝。キミが産まれた産院で「ウチでは無理です。。」と言われて東大病院に救急搬送されることになった。救急車を待っている時に、産院の先生が突然一眼レフカメラを持ってきて
「一枚写真を撮りましょう。。」
ってキミを撮影してくれた。それがこの写真さ。
「これが最後になるかもしれないから。。」
きっとそんな意味の一枚だったんだろうね。パパと救急車に乗って東大病院へ。
すぐに検査が始まった。パパは廊下で震えていた。2時間くらい待ったかな。小児科のK先生から説明を受けた。最初に
「命は助かります。ただし、最低3回の手術が必要です」
って言われた。その時にパパの気持ちを正直に書くとね。。うれしいけど悲しかった。。パパはまだパパではなかったんだね。K先生は1時間半くらいかけて、キミの心臓のことをパパに説明してくれた。それから昨日お産を終えたばかりのママが無理やり産院を出て東大にやってきた。ガニ股の変な歩き方で。
パパはママに一番に言った。
「3回手術すれば助かるらしいよ」
ママは泣き出した。嬉しくて嬉しくて泣いていた。ママはもうママだった。
ママが泣いたのはこの時だけだと思う。すごいでしょ。手術の時も泣いたことない。パパは泣いてない日は今日までほとんどない。。
「メソメソしないで。あなたが泣いているのは真優でなくて自分のことがかわいそうだからよ」
と言われたこともある。それからパパはママを初めて尊敬するようになった。
昨日はパパとママの結婚記念日だった。本当は結婚式の会場だったレストランで食事する予定だった。でも、キミが熱を出したから3人で東大病院に行くことになってしまった。診察の結果は、ただの風邪だったから安心した。診察後に病院内の「タリーズコーヒー」で食事したね。
食事中にママがK先生が歩いているのを見つけた。パパはあの日を思い出してちょっと泣いた。めずらしくママの目も潤んでた。パパとママに挟まれて座ってたキミ。突然、両手で二人の首を掴んで自分の方に引き寄せた。3人でラグビーのスクラムのようになった。スクラムで泣いたね。