6・16・2011
パパはね。。ご飯を食べないキミをすごく心配してしまうよ。もう何日も何も食べていない。。好きだったはずのバナナもリンゴもダメ。ゼリーもすぐに吐き出す。ジュースも飲まない。そんなキミに福岡のおばあちゃんがスモモを送ってくれたんだよ。
「どうせ吐き出すだろ。。」と思いながら近づけたら。。
バクバクッ!!
うおーーっ!!(パパの喜びの声)
1個半も食べたね。嬉しかったし、安心した。スモモさんありがとう。スモモ農家さんありがとう。おばあちゃんありがとう。スモモ食べただけでパパを泣かす娘はあまりいないよ。パパはスモモが大好きになった。これから何年経っても、果物屋さんでスモモを見る度に「あの時はありがとう」って思うだろうね。
6・17・2011
パパはね。。毎日楽しみにしているよ。キミの体から出ているいろんなコードやチューブが会う度に減っていくことを。残っているのはあと3本くらいだね。明日はまた1本減る予定だね。チューブが減ったから昨日はやっとママが添い寝を許されたらしいね。久しぶりにママに抱かれてスヤスヤと眠ったらしいね。良かったね。
今日のキミはすごく調子が良かったね。普通のキミに戻ってきたね。元気になってきたキミは予想通りイタズラを始めたね。左手の点滴カバーを噛んでボロボロにしてたね。カバーにはいつも看護師さんがメッセージを書いてくれるね。これは手術前のものだね。
「まゆちゃんがんばるぞ」
そしてこっちは手術の後。
「マユちゃんおかえり」
退院する時は先生と看護師さんに「ありがとう」って言おうね。細い糸のように今にも切れそうになっていたキミの命をつないでくれたのは先生。そしてその糸をもっと強く太くしてくれたのは看護師さん。パパは生まれ変わったら沢山勉強してお医者さんになる。
6・18・2011
キミは何を考えているのかな?胸元からは傷が見えるね。何も知らない人が見たらビックリするだろうね。大きな傷がザックリとキミの体を走っているから。でも、その傷さえも愛おしい。親というのはそういうものさ。パパの体も格闘技のせいで傷だらけ。キミの傷には負けるけどね。。傷は戦ってきた証。体も心も、生きていれば傷がつくさ。傷一つ無い人生なんてきっとつまらないよ。
今日もキミにチューしてもらえなくて、パパの心はさらに傷だらけだよ。
6・19・2011
パパはね。。ママからのメールを見て慌てて病院に向かったよ。最後まで残っていた肺から体の外に出ていたチューブを先生が外してくれたって。それは良いことなんだけど、それが痛かったみたいでショックでキミは朝から一言もしゃべらなくなってしまったって。。
ベッドの上のキミは本当に一言もしゃべってくれなかったね。すごく怖い思いをしたんだね。何時間もそんな状態だったけど、パパがベッドの柵を乗り越えようとした時にやっとキミの声が聞こえた。
「パパ!落ちないでね」って。
それを10回くらい言ってくれたね。ありがとう。夜には普通のキミに戻ったね。安心したよ。病室内のお風呂で大好きなシャボン玉遊びもしたね。
パパはすごく驚いた。まさか「父の日」のプレゼントをキミからもらえるなんて。キミの手形が入ったタペストリー。ありがとう。コレはとても嬉しかったよ。でもパパはどうしても、もう一つプレゼントが欲しかった。それはキミからのチュー。入院前は一日に何度も何度もしてくれてたのに。。何度も「チューして!」って頼んだけどキミはプイって横を向いてしまう。だからパパは試しにキミに言ってみた。
「チューしてくれたらスモモあげるよ!」
するとキミは、即チュー。無駄のない動きからのチュー。あまり愛を感じないチュー。
あんなに欲しかったチューなのに。。約束通りにスモモをキミの口に運びながらパパは複雑な気持ちだった。父の日にパパが学んだこと。それは、何かと引き換えにもらったチューは虚しいということさ。
6・20・2011
パパはね。。キミの執拗な暴力に参ったよ。昼寝から起きたキミは機嫌が悪くて、抱っこしようとしたパパの顔面を殴る蹴るしていたね。鼻の奥がツーンとするくらい蹴っ飛ばされたね。とんだDV娘だね。平手打ちもバチーンって感じでさ。叩いたり、蹴ったり。。どこで覚えたんだろう?パパもママもそんなことキミにしたことないのに。キミは1時間くらいそんなアブナイ感じでパパは泣きそうになった。でも、突然パパに頬ずりしてきたね。アレがキミなりの謝罪なんだろうね。
女の子に平手打ちされたのは久しぶりだったな。パパも若い頃はいろいろあったのさ。