パパはね。。キミはまだ赤ちゃんと子供の中間のようなちびっ子なんだけど、パパにいろんな大切なことを教えてくれる先生みたいな存在だと思っているよ。キミのおかげでパパは随分と考え方が変わったね。昔は小さなことをすごく気にするタイプだったんだ。みんなに好かれようとして気を使って疲れてもいたね。今はもう違う。キミがパパを好きでいてくれたらそれで良いんだ。地球上の全ての人に嫌われてもキミがパパを好きでいてくれたらそれで良いんだ。もちろん、そこまで嫌われるようなことは多分無いと思うけどね。あ、それとママに嫌われるのも避けないとね。とにかく、パパはキミのおかげで本当の自分になれたのさ。感謝しているよ。
パパはね。。なんでも自分でできるようになるキミを見ながら複雑な気持ちなんだよ。スプーンもフォークも上手になってきたし、服を着たりもできるようになってきたね。ちょっと前までは何もできなかったのに。そうやってパパとママの出番が少なくなっていくんだね。自立だね。でもいつでも甘えてほしいな。助けを求めてほしいな。
今日からの4日間は寂しいね。キミが検査入院していて、ママも付き添いしているからね。パパは夜は家で一人ぼっちだね。レントゲン、心電図、エコー、点滴、、辛かったね。今までに何度もやってきたけど、まだ怖いよね。でも全部キミの為なんだよ。先生は意地悪している訳ではないからね。いつか判ってくれるよね?いろんなお医者様や研究者の方々の努力の蓄積である現代の先進医療によって助けられたんだ。パパはノスタルジックなものが好きでね。「三丁目の夕日」のような時代がいいなぁ。。とか思うことが多いんだけどさ、あの時代に生まれたらキミは死ん でいたね。やっぱり今の時代に生まれて良かったね。
パパはね。。いつまでキミがパパにチューしてくれるのか考えることがあるよ。おそらく5歳くらいまではしてくれそうだね。小学生くらいになったら、ジャニーズとかのイケメンのお兄さんが好きになるんだろうね。ジェラシーだね。
パパはね。。今日ももちろんこれからキミに会いに病院に行くよ。どうやらキミは来月に最後の手術をするらしいよ。今までよく頑張ったね。もうちょっとだけ頑張ろう。パパは思い出すよ。誰もいない道場のマットにうつ伏せに倒れこんで3時間くらい泣いていた日々を。でも宅急便が来たら冷静に受け取ったりしてね。このハワイの海くらいの涙を流した気がするね。それは大げさか。いつもパパは大げさなんだよね。もうパパの話を生徒さん達はほとんど信じていないらしいよ。残念だね。
パパはね。。このブログにはいろんな意味を込めているんだよ。最初にお医者様に「肺動脈閉鎖」「右室低形成」「両大血管転位」「心室中隔欠損」と診断されたね。他にも2つくらい疾患があったけどね。そして、「BTシャント術」「グレン術」「フォンタン術」という3回の手術を受けることになると説明されたんだ。そのすべての手術が終わったら普通の生活はできる、でも大人になっても激しい運動や出産はできない、と言われたね。それから、ネットでいろいろと検索しまくったよ。同じような赤ちゃんが沢山いることも知った。でも、ネットで調べれば調べるほどいろんな情報が出てきてパパは怖くなった。ブログも悲しい内容のものが多かったんだ。絶対に今日も2年前のパパのように不安で仕方ないパパやママがネットでいろいろと調べたりしていると思うんだ。このブログを見つけてほしいね。そして、毎日楽しんで暮らしているパパとママとキミの姿を見て安心してほしいんだ。大変なことも多いけど、それでもやっぱりキミのパパになれて良かったし毎日幸せだよ。
シャッターを切るのが辛い時もあるよ。元気に笑っている写真だけ撮ることもできるよ。でもね、パパはキミの戦いの記録を残すつもりなんだ。キミが大きくなって、何かに挫けそうになった時、病院で撮影した写真を見せるよ。「お前はコレを克服してきたんだぞ!」と励ましてあげるからね。
「蝶々の心臓」展覧会を終えて
私の初の写真展「蝶々の心臓」は無事に終了いたしました。会期中はずっと在廊しておりました。いろいろな方とお話できてとても有意義な時間を過ごすことができました。会場では、このコラムを見て、僕の写真に興味を持ってくださり、会場に足を運んでくださった方も多数おられたようです。どうもありがとうございました。これからも「パパはね。。」をよろしくお願いいたします。