What goes around comes around

10年くらいのゆるーい大回転周期で必ず欲しくなる靴がある。
何周期か昔は、恵比寿駒沢通りにあった氷河山荘という山道具屋のオリジナルで、それより前の周期はお金が無くて買えなかったけれどドロミテのコルチナだったと思う。今また急に欲しくなってドロミテやら、スカルパやら、ザンバラン、さらにはパラブーツまでチェックしてみたのだけど、パラブーツ以外はもう廃盤というか、アメリカの市場では扱いがない。ついでにいえば、日本では結構根強いファンも多いこの型、いわゆるチロリアンシューズはアメリカでは全く人気がなく、名前さえも通用しない。では何と呼ぶのか。型も人気がないのにその呼び名もある訳もなく、うちのスタッフや、靴に詳しいアメリカ人の知人に聞いてみても埒があかない。大体の人は、なんと見た目が似ているだけの理由で、「ワラビー」と断言した。さすがにワラビーと違うのは子供でも分かるだろうと思ったが、アメリカ人には同じに見えるらしい、笑える。

日本人にはもうベーシックにさえなっているこの靴がアメリカではパラブーツ以外に見る事は少ないと思う。当然山道具屋に行っても見つけられないだろうと思う。これがまた、どうしても欲しくなってしまった。しかも良いのが。昔に買えなかった恨みもあり、ドロミテ、しかも3つ穴のブリクセンとかあれば買いたいと思ったが当然無理。日本では再発売や、別注もあるらしいが、アメリカではスカルパもザンバランも無理。チョイスはパラブーツしかない。でも、パラブーツだけは嫌だ。となるとどうするか。だったら逆に日本の手作り靴が良い。意外かも知れないが高校時代は山岳部にも所属してたので、有名山道具屋のオリジナルが急に頭によぎる。昔だとさかいや、たかはし、いろいろとあったのだが、今調べてみると良さそうなのは3、4種類。有名な安藤製靴、中山製靴、そしてゴロー。池袋の秀山荘もアリか。いろいろ検討した結果、前回の東京滞在中にたまたま神保町にいて、一番近いという理由でゴローにオーダーさせてもらいました。上がりまで数週間。今月末の東京行きでピックアップの予定。はたしてゴローがベストかどうかは別として、頑丈な良い靴であるのは間違いない。実際に履いた感じを次の機会に書けるといいなと思っています。

さて、毎回東京での展示会は朝からずっと立ちっぱなしが多い。
ショウルームの床がコンクリだから、年寄りには余計辛い。サンダルでも結構足にくるのでスニーカーを履いてみたけれど、それでもダメ。昔の登山時代を思い出して、逆に重ーい頑丈靴で試してみるとこれが一番マシだった。 それが、Cheaney のカントリーシューズ。最近では最も気に入ってるモデル。ずっと長らくコバの張った、どちらかというと仰々しいスキー靴的な作りが好きだったのだけど、これもロンドンの展示会でチーニーの職人と話す機会があってから突然変わり、このモデルのようなヴェルション製法 (Veldtschoen) のかなり控えめなコバとシンプルな見え方が俄然カッコ良く見えてきたもの。職人曰く、ドレスシューズよりも作りの良いカントリシューズの方が余計に手間がかかるし難しいそうで、その点でもこのチーニーの旧式なミリタリーモデルにハマっています。話は脱線しましたが、いまやサンダルや、スニーカーが全盛の時代なので、余計がっちりとした靴に個人的には興味が向いてきてるようです。今度からの展示会は、このチーニーと、多分ゴローのチロリアンが活躍してくれるでしょう。と書いても、ま、暑くなるとサンダルはいてるだろうし、実は最近良いスニーカーも手に入れたんで、次回はその辺も報告したいと思っています。

ではまた次回。 

最近の投稿記事

DAIKI SUZUKI 鈴木 大器

DAIKI SUZUKI 鈴木 大器

NEPENTHES AMERICA INC.代表「ENGINEERED GARMENTS」デザイナー。1962年生まれ。89年渡米、ボストン-NY-サンフランシスコを経て、97年より再びNYにオフィスを構える。08年CFDAベストニューメンズウェアデザイナー賞受賞。日本人初のCFDA正式メンバーとしてエントリーされている。