誰のせい

毎年この時期、東京の店先にはアジサイを。市場には様々な色が出回っているけれど、漢字で「紫陽花」と書く植物だし、NEPENTHESイズムということもあって、やっぱり選ぶのはいつも紫系。公園や庭先で枯れ切ったアジサイは、春になると何事もなかったように葉を伸ばし、また花を付ける。鉢植えだとなかなかそうはいかない。生き物は皆、狭いところに入れられるといじけてしまう。

横を見ると、販売中のビカクシダがもりもりとまさに成長中で、見てるだけで元気をもらった。貯水葉も胞子葉も野菜みたいに立派な素晴らしい個体。日差しや温度で春に気付いて、動き出す不思議。次第に全体が緑の葉で覆われるはず。貯水葉も胞子葉も野菜みたいに立派な素晴らしい個体。こんな立派な子と住めるスペースをお持ちの方、ぜひこの機会に。この子、強い子です。

立派なドリナリアも販売中。こちらも二種類の葉を出す着生シダ。こちらも春で青々と調子良さげ。群生してるから、分解して流木やヘゴ板に付けたら、さぞかし風情が増すでしょう。植え替えするなら今が最高の時期です。

そして、店から展示会場に行ったら、ここにも春の息吹が。大雨の恩恵か、ディクソニアが一気に新葉を伸ばしていた。すごく気持ち良い。やっぱりこうじゃないと。展示会前にちゃんと散髪してあげよう。

会場内では服部が次シーズン2020年春夏のNEEDLESコレクションを前に臨戦態勢。今日明日でイメージビジュアルのスタイリングを組み、週末撮影して、来月パリでお披露目。信頼しているので、こちらからはもうほとんど口を出さない。いつも良い仕事をしてくれて感謝してます。

ということで、早々に展示会場を引き上げ、外に出たところで目に入ってきたのがお隣さんに届いていたこのお花。白みがかったブルーリーフの葉に白い花を合わせた、なかなかの意欲作。この葉はビスマルキア・ノビリス。自分が一番好きなヤシだ。自分ならキセログラフィカとか白くて硬いティランジア使うかなあ、案外白い薔薇もかっこいいんじゃないか、なんて考えていたら、帰りに頼まれていた店に寄る用事を忘れて、オフィスに戻ってしまった。。ごめんなさい。それはあれだ、春のせい。

TOKURO AOYAGI 青柳 徳郎

NEPENTHES ディレクター。 1970年生まれ。 東京都出身。