大人

サンプルを一目見た瞬間から気に入って、入荷を心待ちにしていた〈NEEDLES〉x〈WRANGLER〉のデニムシリーズ。一足先に商品をチェックさせてもらってにんまり。ぎりぎりまでに色落ちしたインディゴブルーが爽やかで、今日みたいに天気が良い日に着て出かけたい。なかでも気に入ったのは、#11MJのプロトモデルをベースとしたジージャン。オリジナルのフィットと比べると大きめにアレンジされていて、リラックスした大人の雰囲気。あまりにオーバーサイズだと子供っぽくなりがちなところを、良い塩梅にゆったりとしているから「大人っぽい」。

この「大人っぽい」か否か?というのが最近の物事の尺度で、何かをデザインするにしても写真を選ぶにしても、迷ったらこれは大人っぽいか?と自問をしている。元々メンズ服に対する褒め言葉で「かわいい」を使うことに抵抗のあるタイプだし、これまでも無意識のうちにそういったなんとなくの判断基準はあったのだけれど、良くも悪くもそれが年齢とともにだんだん言語化してきた感じ。20歳以上に見えるか見えないかといった意味ではなく、言うなれば、そこに大人であろうとするアティチュードを感じるかどうか。それが自分にとっての大人っぽさ。

いよいよ天気図も春らしくなってきて気分も軽いと思ってたら、緊急事態宣言が延長になったり、大きな地震がきたりとなかなかもどかしい。こんなときは身体を動かすのが一番ということで、大嫌いだったジョギングもするようになり、生まれて初めて純粋に走る為のスニーカーも買った。これがまたちょっとデザインが趣味じゃ無いんだけど、過去のスポーツの古傷があるので背に腹はかえられぬ。ラン中の痛みが軽減することと引き換えに、大人の選択をした。

走っている最中の楽しみはもっぱらラジオ。ポッドキャストやインターネットのお陰で、過去の放送を聴けるのが嬉しい。走りの玄人はきっと、走ることそのものを純粋に楽しめるのだろうけど、今の自分には無理。NHKラジオ深夜便や気になる人のインタビューなんかを聴いて走っていると、運動+教養の一石二鳥だな、などと子供っぽいヨコシマな考えが浮かんでしまう。穢れてる証拠。

さて、すでにチェック済みの方も多いと思いますが〈NEEDLES〉の2021年秋冬の最新ビジュアルが公開されました。コーデュロイに乗った大胆なペイズリー、渋い柄物のセットアップ、少し丈が長めのブルゾン、程よい色合いのムラ染め、ハリスツイードのリビルド、ブーツカットのパンツ、ペタンとしたスリッポンシューズ。。未見の方は今すぐチェックを。大人っぽいです。

TOKURO AOYAGI 青柳 徳郎

NEPENTHES ディレクター。 1970年生まれ。 東京都出身。