多様性

6月の後半戦はパリ。ファッションウィーク中に、NEPENTHESとして臨時ショールームをポップアップ。〈ENGINEERED GARMENTS 〉〈NEEDLES〉〈SOUTH2 WEST8〉の2020年春夏コレクションを一度にまとめて、各国のバイヤーの皆さんにお披露目した。NYと東京から大量のサンプルを持ち込んで、重くて、暑くて、忙しない、設営/お披露目/撤収の日々。パリは連日30度越えの猛暑で、東京に戻ってまだ梅雨なのが違和感。

実はこの3つのブランドを同時に見てもらうという試みは、日本でもやったことがなかった。でも、いざやってみると、これぞNEPENTHESという感じがして、とても良い。なんだか店みたいなのだ。

NY、東京、札幌と、それぞれ拠点もコンセプトも違うブランドが、混ざり合ってできあがる世界観。NEPENTHESを面白くしているのは、きっとプロデュースしているブランドの多様性であり、店はその多様性の受け皿。それぞれの個性が絶妙なバランスで繋がりあって、蓮池のようにビオトープとなっているのが理想の姿。

そんなNEPENTHES各店頭では、2019年秋冬の立ち上がりがいよいよ目前。
アイテムの展開は7月12日、今週金曜日スタート。当HPでブランドごとのイメージフォトがアップされているので、是非事前チェックを。

戻ってしばらくは時差ボケ。このタイムラグを利用して『STRANGER THINGS』を鑑賞。面白い!『ツイン・ピークス』『インターステラー』『E.T.』『エイリアン』『グーニーズ』を混ぜて、分かりやすくしたようなこの爽快感。子供時代に観たら、色んな意味で興奮して眠れなくなりそう。TVと違って、シーズン8話をまとめて一気に配信するというのも楽。

そして、こんな本も読んだ。

タイトルからして最高。外来種の一斉駆除をコンテンツにしたあの番組を観て依頼、ずっとモヤモヤしていたことが、表紙にそのまま書いてあって、目に入った瞬間、手に取っていた。そもそも、外来種か在来種かという区別は曖昧なものが多いし、在来種と思うようなものにも、元を辿れば国外から来たものはたくさんある。例えば、文鳥やモンシロチョウや梅の木などが良い例。

それぞれが心に思い描く自然の姿に違いがあり、もはや手付かずの自然など無いなかで、あるべき自然の姿に正解はない。外来種だから全部殺すなんて、ジェノサイドみたいな基準で命の選別をすることはしたくない。生態系というのは常に移り変わっていくもので、農耕が始まる前と後、現代、それぞれが全く違う姿。そして、生物の時間に習ったように、生きものたちは全て繋がりあって生きている。

愛おしく思えるのは、多様性のある自然。現在の自然にも現在の生物多様性があり、その繋がりの中で外来種も生きている。生物の多様性がありさえすれば、外来か在来かなんてどうでもいい。。。また、どうでもいい話になってしまった。。

この本を買ったのは渋谷の釣具屋。清水さんの誕生日に、毛バリでもプレゼントしようかと立ち寄って、結局買ったのはこの本と自分の水温計。思えば、去年は大勢で北海道に旅して、一緒に還暦を祝ったのだった。なんだか遠い昔のことのよう。。

TOKURO AOYAGI 青柳 徳郎

NEPENTHES ディレクター。 1970年生まれ。 東京都出身。