50キロメートル:

長いトレイルを走る、歩く、走る、自分の呼吸と会話、体の隅々の調子を確認
こんな行為を続けながら進んでいく。

今年のNYの春は何だか雨模様が多い気がする、けれどそんな天気も嘘のような春晴れの朝、約半年前から調整してきた身体一つで、アップステイトにあるBear Mountain State Parkでのトレイルランニングレースに参加してきました。自宅から車で1時間ちょっとの場所にあるので、朝7時スタートのレースに間に合うために、3時には起床、4時半には駐車場に到着、車で少し仮眠をとって、6時過ぎにはスタート地点まで運んでくれるバスに乗りこみました。

乗車客は皆レースに参加する人のため、緊張感がある車内、これからどんなレースが始まるのか、ワクワクする気持ちと緊張する気持ちとが、空気に混ざり合っている。

スタート地へ到着、着ていたジャケットやレース後の着替えなどを入れたバックを預け、トイレに行ったり、身体が冷え込まないようにストレッチをしながらウロウロ動きまわっているとスタート時間となった。

50キロは正直自分には未開の距離でした。
練習での最長距離は30キロほどでしたし、トレイルでその距離を歩いたことは何度もあるのですが、走ったことはありませんでした。大丈夫なのか自分と思いましたが、ロードでの練習は大分してきましたし、身体の調整もしっかりしていましたので、自分的には問題ないと判断していました。

スタート始めの10マイル間での他選手の早いこと、正直にビビるような速さで進んでいくのです。下り坂は雪崩のように降りていくし、登りも全く平地と同じスピードでかけ上がっていく姿は馬のようでした。まじか!この人達すごいって久しぶりに痛感しました。

自分は”ペースを乱さず”を心がけて、進んでいくことを考えていましたのでその流れにはついていきませんでしたし(いけませんでした)、逆に予想以上のラフな道の表情にびっくりしていました。10キロ続く、岩の道、岩の坂、下りも登りもそのような道のコンビネーションが永遠と続いていくのです。まずロードではありえない状況に、対応するのに必死でした。こければ間違いなく大怪我するのがわかっていましたので、転げ落ちないようにっていうのは常に心がけていました。

走るという行為とその走りを緊張しながらコントロールすることの大変さは、街や公園では感じえないものでした。

そんな自分を心から元気づけてくれたのはエイドステーションでした。
約5マイル毎にあるエイドは、主催者側が開いてくれているものと地元の有志の方たちが開いてくれているのとがあり、飲み物や食べ物などを用意してランナーたちを迎えてくれる、本当に山のオアシスでした。後半、20マイルを超えてくると両腿の筋肉が痙攣し始めてきていたので、そんな状態でのエイドでのちょっとした休憩には本当に勇気をいただけました。

長距離になればなるほど、このエイドの力は大きくなっていきそうですね。
ロードでは水くらいしかもらっていなかった自分ですが、やはり合計7時間弱走るとなると何か食べないと身体がもたなくなっていくのを身をもって感じました。

最後、7マイルは、これでもかていうくらいの岩の道でした。
登りも下りも岩だらけ、ほとんど全てをつま先で走っていくといった状態を、続けていく、まだまだと自分に喝を入れつつ、気持ちは前に進むのですが、足がついてこない。

2つの岩山を超えてからのラスト2マイルはスピードを出せそうなトレイルロードでしたので、ここは最後の力を振り絞って走りきりました。足はギリギリついてきてくれましたし、心臓がまだいけそうでしたので、無心で駆けぬけました。

ゴールライン後、50キロは本当に長かったのですが終わってしまうと、なんだかあっという間な気がしていました。そうはいっても身体にはものすごいダメージが、両太腿は今までになく痙攣していましたし、両足の指には、立派な水ぶくれ。走りながら摂取していた、大量の糖分とカフェインのせいで、頭は興奮しているのですが、身体全体の疲労度とのバランスがとっても悪く、うまく身体をコントロールできず何回も道でつまずいていました。眠気がくる前に家に帰ろうと駐車場に戻って、着替えてみれば、身体は泥だらけ、汗だらけ、塩だらけでした。でもなんだか心からこみ上げてくる達成感はなにものにも代えがたいもので、また何か挑戦してやろうという気持ちいっぱいで帰路につきました。

その夜に口にした3週間ぶりのワインの味は格別でした。

翌日から現れた筋肉痛は相当なもので、階段の上り下り、とくに下りができないほどの酷さ、やはり身体に相当鞭打っていました。

累積標高2700メートル、この累積標高を実体験して過酷さをより実感。コースを想定した走り方の予定なども長くなればなるほど必要になりそうですね。まだまだ学ばないといけない事ばかり、いろいろ聞いてみたい質問が増えましたので、周りのランナーの方に質問していきたいです。そして日頃の走り込みとトレーニングもそれに合わせて続けていきます。

今回のトレイルコース(Bear Mountain State park)は、素晴らしい自然の中、川あり、湖があり空気のとても澄んだ状況の中を走ることができるのです。走らなくてもBBQしてキャンプして、山をトレッキングするのにも最適の場所ですよ。

と今回は、興奮冷めやらぬ状況で書かせていただきました。
私事で恐縮です。

写真は、主催者側のフォトグラファーの方が撮ってくださった一枚から。

この度、私自身のウエブサイトがリニューアルいたしましたので、お時間がある際にでもぜひご覧になってみてください。
http://akirayamada.com

山田陽

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AKIRA YAMADA 山田 陽

AKIRA YAMADA 山田 陽

フォトグラファー。1998年よりNYをベースに活動。近年は東京との往き来も多くなり、雑誌、カタログ、広告の撮影に携わる。次回の展示の製作開始。
Website : www.akirayamada.com
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