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Special Interview with DAIKI SUZUKI

  • 今回のコラボレーションが生まれたきっかけを教えてください。NEW BALANCEのシューズについて特別な思い入れがあったのでしょうか?。( DS / 鈴木大器 )
  • 数年前にNEPENTHES NY限定でNEW BALANCE(以下NB)とコラボレーションをしたのがきっかけで、次も何かできないかという話を継続していました。NBは70年代に初めて320(月星製)を手に入れて以来ずっと好きなブランドです。80年代になって、自分が働いていた店で、初代の990、770、1300を扱うようになり、改めてNBの履き心地の良さとそのデザインの良さを再認識して、それから現在までずっと、NBの900番台は自分の靴棚から切らした事はないですね。90年代には様々な別注モデルも登場して、他と比べると値段が異常に高かったし、独特な存在感だったと思います。そしてアメリカ製、これも大きな魅力です。2007年のENGINEERED GARMENTS(以下EG)のルックブックで、既に私物のNB991を使わせてもらっているのですが、その頃から反響は大きかったです。僕の中では本当に洋服に合う、とくにEGの洋服に合うとずっと思ってきました。
  • :「アメリカ製であることも大きな魅力」と感じるのはなぜでしょうか?
  • アメリカのメーカーでアメリカ製の製品を生産し続けているのは現代では非常に少なくなりました。僕個人にとってNBはアメリカのメーカーであり、業界のほとんどが海外に生産拠点を移していくなか、規模は縮小しながらも今現在もオリジナルのNB工場をアメリカに持ち、モデルは限定ですが、生産を続けている事は、70年代から愛用している1ファンとしては非常に大きい魅力に感じています。単純に昔のままの生産背景で作っている事ができているのが凄いと思います。
  • 今回のコラボレーションで制作したNB990v5のデザインについて教えてください。
  • NBは非常に洋服に合わせやすくて、主張し過ぎないシンプルなデザインが魅力だと思っています。そのオリジナルの良さを保ちつつ、何かEGらしい面白いアレンジができないかということで試したのが、この複数素材の組み合わせです。EGが得意としているアプローチの一つで、それぞれのテクスチャーが違う5つの素材(レザー)をパーツごとに配置する仕様です。色味も同じ色調に合わせているので、遠目には全くそのデザインが見えない感じに仕上がっています。こういう非常に微妙なあしらい方が、EGらしくて良いなと思っています。

    本当はサイドの「N」マークも省略したかったのですが、それはNB側からのNGもあり、その分できる限り目立たないようにお願いしました。この Tone on Tone という色味を全て合わせたスタイルもEGらしさの一つだと思います。
  • EGらしいといえば、今回も左右非対称なアレンジです。
  • 昔からイレギュラーな合わせや、左右でバランスが崩れてるものが好きで、同じスニーカーの色違いを2足買いして左右色違いで履いていたりもしていました。自分でもどこからスタートしたかわかりませんが、このアンバランスなバランスの良さは、今やEGにとって大事なエレメントの一つになっています。特に微妙に違う左右非対称が好きで、ぱっと見わからないくらいの感じが遊び心があって良いと思っています。
  • 自身にとってNB990v5の魅力とは?
  • 990シリーズは、NBのなかでも他のモデルと木型が違って、足先が丸すぎないところが気に入っています。履き心地に関しては恐らく皆さんご存知の通りで、その部分に関しては完璧だと思っています。デザインも長い間見てきていますが、新しいバージョンになるたびに最初は違和感があるものの、しばらく見ているうちにだんだんと気に入ってきます。これはNBのデザインチームの力だと思います。今回のEGバージョンは、その素晴らしいデザインバランスを崩さずに、EGらしさを加味できていると自負しています。是非皆さんに楽しんで貰えたらと思っています。
鈴木 大器
Profile
鈴木 大器  /  すずき だいき

1962年、青森県弘前市生まれ。NEPENTHES AMERICA INC. 代表。
〈ENGINEERED GARMENTS〉デザイナー。NY市マンハッタン在住。