いつも知り合いがロンドンに来て、街を一緒に歩くと、忘れかけているロンドンの良さが改めて見えてきます。いつもは仕事と自宅を往復することが殆んどで、住んでる街をこうやって見直す機会ができて嬉しい。あまり行かないところに一緒に行く事ができて、こっちが案内するというよりか、どっちかというとこっちが案内されている感じでいつも良い発見があります。
今回はニューヨークのセルフパブリッシャー、All you can eat pressから出版されている、ラーメン、ダイナー、ドーナッツ、ピザ、ハンバーガーやオイスターマップを作っている松尾由貴さんが来られていて、ロンドンのいろんなところに行きました。彼女の食べ物や異国文化に対する好奇心、野心は誰よりもはるかに強く、一緒にいて勉強になることがたくさんです。素敵なマップ達が完成するまでに食べ尽くしたラーメンやドーナッツ、ピザ、ハンバーガーなどの数はもの凄く、その大変な努力の結果が一枚のマップに詰まっています。そんな由貴さんとの歩くロンドンは凄く楽しかった。
その中でも由貴さんと一緒に行った、友達から教えてもらったロンドンの中心部にある、Windsor Castleというパブ。もうすぐ閉まってしまうそうだから閉まる前に行った方が良いよと言われて2人で行ってみた。
外観はちょっと異様だったけど、良い感じの異様さで、外観だけでワクワクさせるパブでした。中に入ると期待を裏切らないなんだか博物館か、宝箱の中にいるようなパブ。イギリスロイヤルファミリーのお皿、マグカップ、写真、絵、オーナメントが壁、天井一面に隙間なく飾られていて、他のパブとはまた違ったイギリス感が溢れていて最高でした。
カウンターで飲んでいると、横にいたおじさんの犬が話しかけてきておじさんとの会話が始まります。そして帰る時には外でタバコを吸っていたおじさんも話しかけてきて、これもイギリスのパブではよくあることで、基本的にみんなとってもフレンドリー。でも3日後に閉まってしまうという事実におじさん達の目はやっぱり悲しそう。外でタバコを吸っていたおじさんは20年もこのパブに通ったそうだ。そんな彼のような常連客はたくさんいて、このパブには彼の20年分の思い出やたくさんの人の思い出が詰まったいるんだろうなと思うと本当に悲しい。
私には行きつけのパブなんてないけど、私にとってのパブはいつでも何処でも気軽に入ってビールを飲む事ができる場所。1人でレストランやバーに入るのが苦手な私でも唯一1人で入ることができるのがパブ。どのパブもなんであんなに落ち着くのかが不思議。日本でいう居酒屋みたいな感じなのかなと思っていたら、タイミング良くNepenthes in print #5が届いて、グラフィックデザイナーの太田和彦さんの居酒屋レポートの記事が載っていました。日本の居酒屋文化が日本にとって欠かせないのと同様に、イギリスのパブ文化もイギリスには欠かせない素晴らしい文化なのです。
そんなパブで語り合った由貴さんとの時間も宝物です。
由貴さんのもう一つのブランドがYuki & Daughters。布でできたプレッツェルやソーセージシリーズが凄く可愛い。ソーセージシリーズはニューヨークのホイットニーミュージアムにて発売。今の夢はいつかゆきさんのマップを持ってニューヨークを旅すること!はやくニューヨークに行きたい!
http://www.allyoucaneatpress.com