ヴィクトリア&アルバートミュージアムで行われている「Shoes: Pleasure and Pain」は世界中から集められた昔の靴や現代の靴などが全部で200足も展示してあり、それを「Transformation」「Status」「Seduction」「Creation」「Obsession」という5つの観点でみた展示会です。
Transformation
おとぎ話の「シンデレラ」、彼女はガラスの靴によって夢のような世界を経験することができました。「赤い靴」のカレンは虚栄心と無分別な願望のため天罰が下りました。昔から靴はおとぎ話の主人公の人生を変える力があります。男の子のおとぎ話では大抵が靴を履くと足が速くなったり、空を飛べるようになったりと一般的に魔法の靴が多いけど、どちらも「靴」がなんらかのトランスフォーメションの要因になっています。いわゆるこれは今現在も使われているマーケティング方法の一つ「この靴があなたの人生を変えますよ」と同じことなんです。
Status
靴によって社会的地位を象徴することができます。古い靴は装飾された刺繍やビーズ、そして金や銀などでできた靴、そして靴そのものの形などでも地位がわかります。イロコイ連邦のエリート達が履くモカシンは刺繍入りでした。そしてルイ14世の赤いソールの靴も有名です。現在に例えるとルブタンの靴がバッチリ当てはまります。昔だけではなく、確かに今現在でも靴でその人の社会的地位、性格や生活スタイルなどのバックグラウンドが垣間見れます。
Seduction
靴はセックス文化の重要なシンボルの一つ。女性は歴史的に小さい靴を履けば履くほどセクシーで、男性は男らしさのある重くて大きい靴でした。たまに古着屋さんで欲しくなるヴィンテージの靴は私でも履けないくらい小さい靴もあっていつも驚きます。中国の纏足もそうです。ロンドンに留学したての頃、友達と靴を買いに行った時の出来事。友達の靴のサイズは22センチ。今ではやっと小さいサイズも買えるようになったけど、当時はどのお店も22センチの靴はなく、友達があるお店で22センチの靴があるか尋たところ、販売員の女性が「もしかしてあなた中国の方?しかも纏足されたのですか?」ときかれて思わず笑ってしまったこともありました。
“Christian Louboutin” by Victoria and Albert Museum
Creation
昔から靴作りはデザイン、彫刻、エンジニアリングという工程で行われれいます。今現在では靴の大量生産も可能になったけど、もちろん100年前からの手法もちゃんと受け継がれています。特に女性用の靴はファッションのトレンドやクライアントの要望で革新的なデザインを試行錯誤しなければなりません。いい例(悪い例?)が昔に肉の衣装で登場してかなり注目されたガガ。あのとき確か肉の靴も履いていたような記憶が。残念ながらV&Aにその靴は展示されていなかったです。笑
このビデオはFoster&Sonの靴職人である松田笑子さんの素晴らしい靴作りが拝見できます。
“The Art of Shoe Making” by Victoria and Albert Museum
https://vimeo.com/130999913
Obsession
靴はとっても高価なものです。でもその額を払ってまで買うというこの行為こそがコレクターの快楽なのです。デザイナーズシューズのコレクターもスニーカーのコレクターもそれぞれ靴がデザインされてから自分がその靴を購入するまでの過程全てが喜びであって、そしてその時の出来事や思い出なども加わると欲望を超えてもうその靴を買わないといけないという義務になってしまうことも多々あります。私が学生の頃に付き合っていた彼が当時プレゼントしてくれたナイキのスニーカーが最近また発売されたときに心がすごく揺れたな~。
勝手に追加します。
「Pain」
というと単純に「靴擦れ」ですが、この痛みには何度もやられました。ヒールであれ、スニーカーであれ、フラットシューズだってたまにこの痛みがついてきます。友達はこの前のピッティで立ち仕事だからといってわざわざそナイキのスニーカーを購入したけれど、結局それで血まみれになったという悲しいお話も。笑
若い頃はどんなに痛くても、どんなに歩きにくくても、その靴を履きたいっていうだけで頑張っていました。学生の頃はビビアンのロッキングホースを履いた友達が自転車の後輪に付けたステップに立って、私がヒールで自転車をこいで駅から学校まで通ったこともありました。今考えると滑稽すぎる光景です。
若い頃に出会った、もう名前も忘れていまったけど、当時テキスタイルデザイナーだったおじいちゃんが現代の女性について語っていました。最近の女性は「ヒールぶさいくが多い!」ヒールを履くのはいいけど膝で歩く女性が多すぎて醜いとご立腹でした。おじいちゃんの言う通りです。歩けないなら履かない方がいい、フラットシューズでも着こなしと姿勢正しく綺麗に歩けば十分セクシーだと思います。