伝統工芸の江戸切子の展示が日本大使館で行われました。
江戸切子の歴史は1834年に始まりました。その後明治時代に当時カットグラス技師であったイギリス人、エマヌエル・ホープトマンをイギリスから招いて新しい技術導入が行われました。それ以降、数名の日本人技師がイギリスの近代的な技法を取り入れ、日本の江戸切子を発展させたそうです。
その江戸切子の職人さんである、堀内徹氏とミシュラン二つ星「料理屋 植むら」の和食料理人、植村良輔氏の二人のコラボレーションで生まれた器たち。テーマは「彩り、育つ、涼しげ」。
「彩りの器」海の幸、山の幸と豊富な食材に恵まれた和食は、多彩な色合いがあります。料理の魅力を引き立てるにはシンプルな器をという考えから敢えて離れ、江戸切子と和食の色彩がお互いを高めあう演出を二人で創り出しました。盛り付けは料理人にとって数ある腕の見せ所の一つで、本来は料理人が自身の演出イメージに沿った色合いを選びますが、この3つの器はガラスの色や模様をお料理の色と調和させた合同作品。
「育む器」従来、料理人は既製品の中から自分のイメージにあった器を選びますが、ここでは二人がどのような器でどのような食材をどのように見せたらお客様が常に新鮮で嬉しい驚きをしてもらえるかと試行錯誤して作られた作品。
「涼しげな器」特に日本の夏にいかに刺身を涼しげに盛るかという課題が毎年あるそうで、ガラスの器に盛るのは基本的ですが、この器は料理人の刺身の切り方、江戸切子のガラスのカッティング方が調和された作品。
そして、江戸切子の特徴である、光と影のディスプレー。これがとっても綺麗で感動。
そしてそして、昨夜はロンドンのTokyobikeで「Growing Tea and Grinding Ink」という和束(わずか)茶と雄勝(おがつ)硯の展示会が行われました。
和束茶は中国からお茶が伝わった頃からずっとお茶の生産地として有名。実際この辺りは地形的にお茶の収穫は不向きですが、朝と夜の気温の違いがお茶の栽培に最適な気候で、主に宇治茶の生産地になっています。
雄勝硯は宮城県石巻市にある雄勝町が上質の硯の生産地として有名で、昭和初期までは90%の硯が雄勝町で生産されていましたが、その後は現代文化の進化とともに生産数も衰え、その上2011年の東北地方太平洋沖地震の津波ですべて流されてしまい、今現在、雄勝の硯職人は遠藤市雄さんたった一人だそうです。
この日本伝統文化を守るなめに7人の若手プロダクトデザイナーが新しい進化した硯をデザインしました。
3月に東京と京都でもイベントが行われるそうです。
昨夜はそんなお茶と硯の展示と同時に、書道家万実さんによるライブデモンストレーションも大人気でした。書道家ときいて、私の勝手な偏見で髭を生やしたおじさんをイメージしていたのですが、イベントに行くと窓際で筆をもって文字を書いている人がとっても可愛らしい女の子。友達に聞くと彼女が書道家だというのでびっくり。その後私も一枚書いてもらい、いろいろお話をしていても、まだ書道家とは思えないほど書道家らしくない出で立ち。笑 私の書道家に対する固定観念をぶち壊してくれた万美ちゃん、なんかとっても新鮮でした、ありがとう。
今ヨーロッパツアー中の万美ちゃん、そして硯の若手職人さん、そして江戸切子職人の堀内さん、日本食料理人の植村さん、これからも日本の文化を世界に伝えていって下さい。
江戸切子
http://www.cutglassaccents.com/
雄勝硯
http://suzuri-ogatsu.jp
書道家万美
http://www.66mami66.com/