想い出ぽろぽろ
猛暑のなかの秋冬立ち上がり。この酷暑に秋冬入荷/極寒に春夏入荷の状況は、温暖化でますます非現実感が加速。常々どうにかならないものかと思うけれど、ファッションの流れ的にどうしようもない。一斉に号令がかかり、ブランド/工場/店舗/メディアの足並みを揃えて、業界全体が何か考えるようなことがない限りは、このスケジュールのなかで表現していくしかないのが現状。幸い店にはたくさんの方々にご来店いただき、週末は立ち上げらしく盛況。新しいアイテムを待っていてくれる方が居ることが救い。あいにく?今週も各店頭には、お問い合わせが多いアイテムが複数入荷予定。そして、この時期でないとコレクションの全貌が揃って見れないというのも事実。。外は暑くて大変ですが、何卒是非ご来店ください。
さて、『NEPENTHES in print』#10 がお陰さまで好評発売中。
長く制作期間がかかってしまった今号。記憶の断片をぽろぽろといくつか。
まずステラ イシイさん。ステラさんはニューヨークで世界的に有名なショールーム THE NEWSを運営している女性。ファッション業界で言うショールームとは、つまり代理店のようなもの。ブランドを抱えて、そのブランドをどこのエリアのどのお店で販売していくのか、双方に幸せな形でマッチングできる販路を見極めて、正しく流通させていくのが大まかなお仕事。NEPENTHESからも〈NEEDLES〉が THE NEWS にお世話になっている。先日もパリのトレードショーMAN/WOMANで最新コレクションを披露する際に、各国のバイヤーの方々の対応をしてもらったばかり。
横浜で生まれてアメリカに渡り、パリで活躍してニューヨークで起業。それだけをイメージすると、ゴリゴリのキャリアウーマンのようだけれど、本人はとても気さくでいつも笑顔が絶えない。オープンマインドで明るくて、センスが良くて。ひとことで言うと素敵な女性。そのグッドバイブスに、周りには自然と人も集まる。
ステラさんは、取材の時も、以前ニューヨークであった時も、胸にDREAMERSとプリントされたブラックTを着ていた。それについて尋ねたことはなかったけれど、DREAMERS の文字を見て、なんだか勝手にジョン・レノンの「YOU MAY SAY I’M A DREAMER」の歌声が響き、忌野清志郎の「ほら、ここにいるぜ」の言葉が呼応して、自分のなかでは勝手にIMAGINE Tシャツになってしまってた。
東京のお気に入りの和食屋でステラさんと食事をした時も、やっぱりDREAMERS Tシャツを着ていた。良い機会だと思って改めて聞いてみたら、このTシャツが訴えているDREAMERSとは、なんとこっちの「ドリーマー」のことだった。
2歳からアメリカで育ったのに強制送還?トランプが打ち砕く「ドリーマー」の夢
「ドリーマー」とは、幼少期に親に連れられ米国に不法入国した若いアメリカ移民のこと。オバマ政権下で保護されてきた80万人近い彼らを、簡単に言えばトランプは強制送還すると言っている。
他国のことだし、会社のメディアでの政治的な発言は控えるけれど、このTシャツを自分で作って着ているステラさんをますます好きになってしまったのは確か。腕にはタトゥーで、甥っ子と姪っ子の名前とともに、Wherever you go/あなたがどこに行こうとも、という言葉が。そしていつか、ドラマの終わりにあるような「つづく」って言葉をタトゥーしたいなと話してくれた。
そんなステラさんのライフワークは、スノードーム蒐集。
『NEPENTHES in print』#10 で特集しています。想い出が補完されるコレクションって、なかなかいいものです。ぜひ読んでみてください。