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    • 〈ENGINEERED GARMENTS〉のコレクションには、 “グルカ”と名付けられたアイテムがたびたび登場する。一般的に“グルカ”とは、イギリス軍に従軍していたネパールの山岳民族兵士たちのことを指し、彼らが身につけていたユニフォームや装備にインスパイアされたアイテムが“グルカ”とネーミングされていることが多い。しかし、デザイナー・鈴木大器は『ミリタリーテイストのもの』というニュアンスで“グルカ”とネーミングしているそう。例えば、一般的なグルカショーツはダブルストラップのウエストバンドを備え、股上が深く、プリーツ入りでAラインのシルエットだが、EGのものはまったく異なるディテールを備えたデザインだ。
      ここで紹介するグルカジャケットはブリティッシュ・カーキ(イギリス軍)のユニフォームをベースにデザインされたテーラードジャケット。プリーツ入りの胸ポケット、収納力のあるボックスタイプのサイドポケット、そしてベルテッドのウエストといったミリタリージャケットの特徴的なディテールに加えて箱ポケットを胸に配し、ミックス感のある斬新な表情に。袖は本切羽、ベントはサイドベンツ、ラペルはノッチドラペルで、テーラードジャケット仕様。ステッチ幅をアメリカンワークウエアの標準(クォーター)よりも若干狭く(スリー・シックスティ)仕上げることで、全体の“甘み”を抑え、EGがこれまでにリリースしてきたどのジャケットよりも高く設定されたゴージラインがシャープさを演出している。
     
    • ファブリックにはラフなシワ感が魅力的なフレンチツイルを使用。〈WILLIS & GEIGER〉が開発したブッシュ・ポプリンをイメージして探した結果、この生地に辿り着いた。ブッシュ・ポプリンのように高密度でハリがあるが、袖を通すと軽くて柔らか。肌に触れると独特なヌメリ感があり、サマーシーズンに最適。カーキだけでなく、オリーブ、ネイビーの発色も美しい。トラウザーズやショーツ、タイパンツなど、同素材のボトムスも多数用意されているので、セットアップで楽しんでもいいだろう。
     
    • タイの漁師たちがはいていたことからネーミングされたこのフィッシャーマンパンツは、いわゆるタイパンツと呼ばれるもの。ゆったりとしたつくりで締めつけがないことから、タイ語では“サバーイ・パンツ”(サバーイ=快適・気持ちいい)と呼ばれ、広く愛用される伝統的な民族服だ。「昔、グルカ兵か、インド兵かが、トップスは軍服をビシッと着ているんですが、その下にユルいタイパンツを合わせている写真を見たことがあって。瞬間的になんてアウトローな着こなしなんだろうと思ったんです。自分に置き換えるとしたら、学生服のボトムスをブラックジーンズにしているような。すごいインパクトでした」。そう話すのは、このパンツを作った本人である鈴木大器。“トラベル&サファリ”をテーマに掲げた今季のコレクションにエスニックな要素を取り入れようと思いを巡らせているときに、以前に見た写真のことを思い出したという。

      生地の無駄を省くため、直線が多用されるタイパンツのパターンは完成度が高く、ゆえに〈ENGINEERED GARMENTS〉のタイパンツも、現地の土産物屋に並ぶものと構造上の違いはほとんどないのだとか。とは言っても、マテリアルや仕様のアレンジで印象はここまでがらりと変わる。生地は彩度を抑えたペイズリー柄のプリンテッドブロードクロスを使用。真夏でも快適に過ごせる薄手で軽やかな着心地だ。縫製はすべて、ジーンズやワークシャツ
    • に用いられる巻き縫いに。これは頑丈さを求めたのではなく、洗ったときに縫製部分がパッカリングを起こして、生地にこなれた表情を出すのが狙いだ。一般的なタイパンツにはついていないがポケットも備えた。メンズのパンツには必ずポケットをつけるのが鈴木のこだわりだ。

      ルックブックのコーディネートでは、エスニック調のアイテムと合わせてリラックスした雰囲気にまとめていたり、あるいはアンドーバージャケットをタイドアップスタイルでカチっとまとめ、そのバランスを崩すようにタイパンツを合わせていたり。着心地が快適なだけでなく、アイデア次第で幅広く活用できると鈴木はいう。「ジャケットを着てタイドアップしてボトムスをタイパンツ、シューズをスリッポンという装いでパーティに行ったことがあるんですが、その時、すごく周りの反応が面白かったんです。毎シーズン、売れないかもしれないけど、コーディネートするときにあったら楽しいだろうな、と思える飛び道具的なアイテムを作ることにしているのですが、今季はこのパンツがまさにそれです」
     
     
    • 設立当初から、「NEPENTHES」の靴へのこだわりは並々ならぬ物がある。それはショップの1階に堂々と構えられたシューズコーナーの幅広い品揃えを見れば歴然。優れた技術を持ったファクトリーを世界中から見つけ出し、彼らとの協業によって、これまでにドレスシューズから、ワークブーツやウエスタンブーツ、モカシン、スニーカー、サンダルまで、ジャンルにはとらわれず、しかし「NEPENTHES」でしか出会えないようなスペシャルな靴を作り、提案してきた。その中でも最も強い思いを寄せるのがウイングチップシューズだ。代表の清水慶三は「靴の装飾のなかでは、ウイングチップがもっとも強くて愛嬌があって、美しい。これに敵うものはないと思っていて、ウイングチップシューズのデザインをどこまで遊べるかということに、常に挑戦しつ続けている」という。

      今シーズンも、「NEPENTHES」らしい斬新な1足がリリースされた。構想から完成まで、1年半を費やしたという渾身の作は、アメリカ・シカゴに本拠地を構え、100年以上の歴史を誇る名門タンナーとして広く知られるホーウィン社のシェルコードヴァンを使用し、世界屈指の靴の産地、イギリス・ノーザンプトンを代表するシューファクトリーのひとつ〈アルフレッドサージェント〉が生産を手掛けたウイングチップシューズだ。
    • 清水が「チロリアンシューズをイメージした」というデザインは、コバからバンプまで高く屹立したラストのフォルムが印象的。製法はノーザンプトンのシューファクトリーにおいては、〈アルフレッドサージェント〉だけがその技術を擁するノルウィージャンウェルテッド、そしてソールには悪路で高いグリップ力を発揮するビブラム社のラギッドソールを備え、スペックは登山靴並のタフさ。長い時間と多くの工程を経て少量のみ生産される希少な最高峰レザーのアッパーは、奥行きを感じさせる鈍く深い光沢をたたえ、無骨な仕様に埋もれることなく、むしろ圧倒的な存在感を放っている。アメリカとイギリスのクラフトマンシップが見事に融合した珠玉の逸品だ。ちなみに同様のコンセプトで作られたヘビーデューティーなコインローファーも展開されているので、ぜひそちらもご覧いただきたい。果たして長く履き込むことで、ホーウィン社のコードヴァンならではのバーガンディカラーvがどんな表情に味わいを増していくのか。エイジングを見届けるのが楽しみだ。
     
    • カバーオールは〈NEEDLES〉のコレクションで毎シーズン展開される定番アイテムのひとつ。デザインを手掛ける清水慶三のワードローブでもある。清水が若い頃、ワークジャケットは〈LEE〉の“91-B”のように丈の短い物が人気で、カバーオールはあまり人気がなかったそうだ。丈が長くて日本人には着こなしづらいというのが原因だったが、しっかりした身体つきをしていた清水には、カバーオールがしっくりきたという。「古着を中心にかなりの量を買い集めていました。ブランド、年代、いろいろと試していった結果、辿りついたのは1960年代の〈PAY DAY〉のカバーオールでした」。

      ラグランスリーブ、ラウンドしたポケットのフォルム、右側だけフラップ付きの胸ポケットなど、〈NEEDLES〉のカバーオールの根底には60年代のワークウエアのディテールが息づいているのは確かだ。しかし、決してヴィンテージのリプロダクトにはならない。そこに強烈なアレンジを加えることで、まったく新しいアイテムにしてしまうのが〈NEEDLES〉の流儀だ。ここ数年は、フロントをチャイナボタンに、襟をスタンドカラーにして、オリエンタルテイストをプラス。斬新なアイデアでカバーオールをリファインして見せた。そして2015年春夏は襟をカットしてノーカラーに。さらに袖もカットオフしてロック処理を施し、ラフな表情に仕上げた。「古着は質感が良くてもサイズが合わないということも多いから、自分の体型に合わせて
    • よくリメイクしていました。シャツの丈が長ければ切ったり、襟が邪魔なら取り払ったり。今回のアレンジは、自分にとって馴染み深い方法です。あと、最近の数シーズン、〈NEEDLES〉でノーカラーのデザインを多く作っていたので、その流れも影響していますね」。

      生地はコットンリネンを使用。ライトオンスで、適度なハリと光沢があり、ドライなタッチ。Tシャツの上にさらりと羽織るイメージで選ばれた。高熱が加わると極端に縮む糸を使ったステッチがパッカリングを起こし、その陰影が生地をより魅力的に見せている。チェンジボタンはオリジナルで、裏側のクリップのような針金パーツは、手作業でエッジ部分を曲げてある。マシンメイドのものに比べてボタンの付け外しをしやすくするためだ。また、襟、袖のロック処理は、通常8mmのところ、ミシンを調整して6mmにすることで、少し古めかしいニュアンスを演出。わずかな違いだが、このひと手間の積み重ねが服の表情を豊かにし、着心地の良さを高めるのだ。
     
    • アメリカ西海岸、サンフランシスコから海岸沿いに190km南下した場所に“芸術家や詩人たちが集まる街”として知られる、カーメル・バイ・ザ・シーはある。歴代の市長には俳優、詩人、作家なども多く、1986〜88年はクリント・イーストウッドが市長を務めた街だ。派手なネオンサインやファストフードショップの設置・出店に規制が設けられており、過度な商業化に陥る事なく、今なお昔ながらの景観を保っているそう。

      そんな美しき街と同じ名前を持つジャケットが〈SOUTH2 WEST8〉にはある。同ブランドのスタート時から、毎シーズン展開され続けているカーメルジャケットだ。これは1970〜80年代にかけて、アメリカ東海岸で人気を博した富裕層向けアウトドアブランド〈バート ピューリッツァー〉をはじめ、さまざまなブランドからリリースされたクラシカルなヨットパーカをモダナイズしたプロダクト。シェルはハイテク素材が開発された現在もなお愛される、アウトドアファブリックの傑作、60/40クロス。横糸にコットン、縦糸にナイロンを配し、その比率を60:40で編み込んだこの布地は、コットンが水分を含むと膨張し、密度が高まることで防水性と防風効果を増すという仕組み。コットン100%よりも軽量かつソフトな肌触りで、ナイロン100%よりも耐久性に優れるほか、使い込むほど
     
    • に身体に馴染み味わいを増していくのも大きな魅力だ。特徴的なスタンドカラーには、フードが収納されていて、出し入れが可能。フロントはプラスティックファスナーのジップアップで、スナップボタン式の比翼が風雨をカバーする。ポケットは計7つ。ヴィンテージのヨットパーカに見られる、コンパスやサングラスを入れていたであろう横向きのポケットを、デザイン的なアクセントに飛躍させた胸のマチ付き斜めポケットは携帯電話の収納に便利。バックにジップ付きゲームポケット、内部にジップカバー付きポケットを備えるほか、ウエストのフラップポケットはサイドから手が入れられるハンドウォーマーポケットとしても機能する。動きやすいラグランスリーブで、身幅はゆったり、着丈は短め。このすっきりとしたAラインシルエットが絶妙なのだ。これまでは、ライニングも60/40クロスだったが、今季はポリエステルメッシュを採用。シェルも若干薄手に変更し、ライトな着心地を実現した。完成度の高さゆえ、ほとんど仕様変更されることのなかった定番が春夏対応にアップデイト。ファンには嬉しいニュースだ。
     
    • サンフォージャークロスは、ボートのカバーや、店先のオーニング(雨除け)などに使用されるUSAメイドのアウトドアファブリック。細い糸を高密度で織り上げたコットン100%の生地に、湿気、カビによる劣化を防ぐ加工が施されていて、撥水性、耐久性に優れているのが特徴。今なお実際に使われているが、生まれたのはナイロンが開発される前の時代。ローテクなヘビーデューティさがクラシカルな雰囲気を漂わせている。そんな魅力に満ちたファブリックとの出会いから生まれたのが〈SOUTH2 WEST8〉のサンフォージャーバッグコレクションだ。これまでに全18型を展開し、ブランドの基幹にして定番。常に高い人気を誇っている。

      今シーズン新たにラインナップに加わったのは、シンプルなグローサリートートバッグ。ハンドルとショルダーストラップを備えた2WAY仕様で、A4の書類や雑誌が余裕で収まる大きめのサイズ。ショッピングバッグとしてだけでなく、日常使いのメインバッグとしても対応する充分な容量だ。内側には小物入れに便利なミニポケットを備え、開口部はスナップボタンで閉じることができる。あえて切りっぱなしにされたハンドルのエッジは、使い込むことで徐々にほつれて味が出る。オリーブドラブのバータックも“Sun Tan”と呼ばれる深い小麦色のサンフォージャークロスに程よいアクセントとなっ
    • ている。プリントされている文章は、日本のアウトドアカルチャーの礎を築いたパイオニア、芦沢一洋氏が著書やエッセイに残した言葉を、〈SOUTH2 WEST8〉の解釈で捉え、英文にしたもの。写真のバッグにプリントされている文章はこうだ。“私にとって必要なのは強い愛着心を持てるもの。そういうものだけを選び出す自主的な簡潔さを心がけ、雑多な物を自分の回りから排除して、本当に必要な物、本質的なものとだけ付き合っていきたい”。『森の生活』の著者、ヘンリー・デイヴィッド・ソローは、“Voluntary Simplicity”(自主的な簡潔さ)を求めて自給自足の暮らしをはじめたが、芦沢氏は良いものを愛着を持って長く使うことが現代に生きる自分なりの“Voluntary Simplicity”と語ったそう。このほかにも〈SOUTH2 WEST8〉が強く共感した言葉をプリントした “Armchair”“Not a Sport”、ヤマメやイワナのイラスト、テンカラ釣(フライフィッシング)用の毛針をプリントした“Fish & Flies”の4モデルを展開。
     
    • 限りなくシンプル。しかし明らかに異彩。ファーストコレクションのキーピースとしてリリースされて以来、シーズン毎の気分を反映して素材を変え、わずかに仕様を調整しながら展開され続けてきた、〈NEEDLES〉の“マイルス ジャケット”。このジャケットこそ「シンプルな服をつくるブランド」と清水慶三がいう〈NEEDLES〉のクリエーションを体現するアイテムだ。独特の雰囲気を醸し出す最大の特徴は、身ごろが1枚仕立てであること。ゆえにシームは脇にだけ走り、ジャケットではあるが、まるでマントのように体を包み込む自然なシルエットとなる。独創的なアイデアは、ネーミングの由来でもある、伝説のトランペッターにして、ジャズ界の帝王と呼ばれた男の写真にインスパイアされたものだ。「1962年頃の『エスクァイア』に、マイルス・デイビスの写真が載っているんですが、その時に彼が着ているスーツが面白くて。すごいなで肩でゆったりしたシルエット、日本のコンポラ(玉虫色の素材で仕立てた、ナローラペル、ワンボタン、ボックスシルエットのジャケットが特徴のスタイル)風だった。文章を読んでみると、どうやらオーダーメイドで、しかも1枚の生地で作られているらしい。これはユニークだなと思って自分でも作ってみたんです」。
     
    • 清水が作る“マイルス ジャケット”は、シンプルさを重視して胸ポケットはナシ。今シーズンはラペルのゴージラインも取り除き、より洗練された印象に。ノーパッドでナチュラルなラインのショルダーはややシャープなつくり。たっぷりとしたボディにつながって、リラックス感のあるAラインシルエットを描く。やや高めに配置された1つボタンも優美なドレープをつくるのにひと役買っている。生地の目が前身ごろはバイアス、後ろ身ごろは縦地になっているのは、ダブル幅(約150cmの幅広の規格)の生地を目一杯使った1枚仕立てゆえ。前後で生地の表情が異なるのもこのジャケットの特徴だ。 2015年春夏モデルは、滑らかで光沢感のあるポリエステルとレーヨンの混紡素材を使用した。ジャケットに袖を通してみると、ファブリックに立体感が出て、そのしなやかさ、艶やかさがいっそう際って美しい。ディテールデザインや構造はシンプルながらセクシーでエレガント。〈NEEDLES〉らしさが詰まったアイテムだ。1タック入りのゆったりとした腰回りから、裾にかけてテーパードする、細身のトラウザーズが同素材で展開されているので、セットアップで楽しみたい。